第67回ハエン国際ピアノコンクール(Premio Jaén de Piano)のファイナルが2026年4月18日(土)にスペイン・ハエン市Teatro Infanta Leonorで行われ、日本の伊舟城歩生が優勝、鈴木優輔が第3位に入賞した。伊舟城はスペイン最古のピアノコンクールで日本人として史上5人目の優勝者となり、日本勢2名の同時トップ3入賞という快挙となった。
伊舟城歩生が第1位、鈴木優輔が第3位
第67回ハエン国際ピアノコンクール(Concurso Internacional de Piano “Premio Jaén”)のファイナルが、2026年4月18日(土)にスペイン南部ハエン市のTeatro Infanta Leonorで開催された。
結果は1位が伊舟城歩生(Ayumu Ibaraki、日本)、2位がRuggiero Fiorella(イタリア)、3位が鈴木優輔(Yusuke Suzuki、日本)。日本人2名が同時にトップ3入りする稀な結果となった。
決勝にはマラガ・フィルハーモニー管弦楽団(Orquesta Filarmónica de Málaga)が出演。指揮はSalvador Vázquezが務めた。会場は有料公演(入場料10ユーロ)ながら、ハエン県庁(Diputación Provincial de Jaén)の公式YouTubeチャンネルでライブ配信も行われ、日本時間の深夜にもかかわらず120名を超える視聴者が結果発表を見届けた。
ファイナルのプログラム
決勝では協奏曲1曲を披露する形式。今回のプログラムは以下の通り。
- 伊舟城歩生:ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
- Ruggiero Fiorella:ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
- 鈴木優輔:ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
伊舟城はセミファイナルで披露したブラームスのソナタとは対照的な、繊細かつ端正な音色でベートーヴェンを演奏。鈴木はダイナミックな表現力でラフマニノフを弾ききり、観客賞(得票率52%)も獲得した。
賞金・特別賞の詳細
第67回の総賞金額は70,000ユーロ。昨年の60,000ユーロから増額された。上位3名の賞金と、日本勢2名が獲得した特別賞は以下の通り。
- 第1位:伊舟城歩生 20,000ユーロ+金メダル+5公演ツアー
- 第2位:Ruggiero Fiorella 12,000ユーロ(UNED Jaén提供)
- 第3位:鈴木優輔 10,000ユーロ(Fundación Unicaja Jaén提供)
- ロマンティック音楽賞:伊舟城歩生 8,000ユーロ
- 室内楽賞:鈴木優輔 8,000ユーロ(Universidad Internacional de La Rioja提供)
- 観客賞:鈴木優輔(得票率52%)
このほか、Rosa Sabater賞(スペイン音楽解釈、6,000ユーロ)をAlexandra Segal(イスラエル)、現代音楽賞(6,000ユーロ)をIonah Maiatsky(フランス)が受賞。伊舟城は本賞と特別賞を合わせ、計28,000ユーロを獲得したことになる。
1位の副賞には演奏ツアーが含まれる。ハエン国家経済友好協会(Real Sociedad Económica de Amigos del País de Jaén)主催公演、ウベダ市国際音楽舞踊祭、マラガのピカソ美術館室内楽シリーズでのマラガ・フィル共演など、計5公演のヨーロッパ演奏機会が与えられる。
スペイン最古のピアノコンクール
ハエン国際ピアノコンクールは1953年創設。スペイン最古のピアノコンクールとして、国際的に長い歴史を持つ。2004年には世界国際音楽コンクール連盟(WFIMC)に加盟。主催はハエン県庁で、毎年開催される点、そして決勝でスペインの主要オーケストラと協奏曲を共演できる点が特徴。
今回は13カ国から48名が参加し、4月9日から10日間にわたって開催された。第1次予選と第2次予選のソロラウンドを経て、セミファイナルではCuarteto Cosmosとの室内楽共演も審査対象となった。
審査委員長はバルセロナ出身のピアニスト、アルベルト・アテネジェ(Albert Attenelle)。今回の決勝を「非常に美しく、興味深いものだった」と評した。
過去66回の開催で20カ国のピアニストが優勝しており、真に国際的な舞台。伊舟城の優勝により、日本人優勝者は通算5人目となる。
伊舟城歩生のプロフィール
伊舟城歩生は1997年5月7日生まれ、群馬県出身。東京音楽大学附属高等学校を2016年に卒業後、同年東京音楽大学に入学。在学中の2019年には第17回東京音楽コンクール・ピアノ部門で第3位に入賞している。
直近では2025年のロン=ティボー国際コンクール(パリ)、同年の第13回パデレフスキ国際ピアノコンクール(ポーランド・ビドゴシュチ)にも出場。パデレフスキの決勝でも今回と同じくベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏しており、この曲はすでに本人の看板レパートリーと言える。
内省的で知的な演奏スタイルに定評があり、ハエンのベートーヴェンも落ち着いた佇まいが際立つ仕上がりだった。
鈴木優輔のプロフィール
鈴木優輔は1998年6月5日生まれ、京都府出身。金谷雅美、長谷川千佳、Claudio Soaresらに師事。
国内外のコンクールでキャリアを築いてきたピアニストで、第11回ショパン国際ピアノコンクール in ASIAアジア大会Gold Prize、第33回愛知ピアノコンクール高校A・B部門ゴールド賞+中日新聞賞などの受賞歴を持つ。
近年は2024年の第12回浜松国際ピアノコンクール、同年のEuregio Piano Award(ドイツ)、第5回Shigeru Kawai国際ピアノコンクール、2026年2月の第6回高松国際ピアノコンクールと、日本の主要国際コンクールに継続的に出場。今回のハエン3位は、高松国際出場直後の欧州遠征での快挙となった。最新の活動情報は本人のInstagram(@yusukedada_65)で発信されている。
日本人ピアニストの国際的飛躍
ハエン国際のような毎年開催型・ライブ配信付きの国際コンクールは、3年おき・5年おき開催の大型コンクールと並行してキャリアを積む機会として、近年その存在感を増している。
コンテスタントの世代交代が進むなか、伊舟城と鈴木のトップ3独占は、日本人ピアニストの層の厚さを改めて示す結果となった。1位副賞の演奏ツアーを通じ、伊舟城が今後ヨーロッパでどのような足跡を残すか。注目が集まる。




