第36回国際古楽コンクール<山梨>2025【声楽部門】第二位(最高位) 小林恵さんにインタビュー!

小林恵さま インタビューアイキャッチ

2025年4月27日(日)山梨県立図書館多目的ホールで行われた「第36回国際古楽コンクール<山梨>2025」【声楽部門】において第二位(※第一位該当者なし)を受賞された小林さん。

今回は同コンクールや音楽コンクールに挑戦される方へ向け、お話を伺いました。


取材・文|編集部

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プロフィール

小林恵(こばやしめぐみ)

東京都出身 / 府中市在住
青山学院大学文学部史学科卒業。東京藝術大学大学院古楽科バロック声楽専攻修士課程修了
青山学院大学聖歌隊副指揮者

3歳から児童合唱とピアノを始め、中学・高校では聖歌隊とオペレッタクラブに所属。大学は一般大学に進学したが、在学中も聖歌隊で活動を続ける。大学時代に所属したクワイアでは、ヘンデルやパーセルなどのバロック作品に触れる機会があり、古楽への関心が高まる。より専門的に学びたいという思いから、東京藝術大学大学院へ進学し、古楽の研鑽を積んだ。

声楽を波多野睦美、野々下由香里、青木洋也、阿部早希子各氏に師事。

趣味・特技

趣味は演劇・映画鑑賞、テニスなど

受賞歴・演奏活動歴

第36回国際古楽コンクール〈山梨〉第2位(最高位)
G.F.ヘンデル 《メサイア》、J.S.バッハ《ミサ曲 ロ短調》、《マタイ受難曲》、F.メンデルスゾーン《賛歌》、 G.フォーレ《レクイエム》等の宗教作品でソリストとして出演。 
Emma Kirkby, John Elwes, Gerd Türk各氏によるマスタークラスを受講。
メサイア・フェスティバル・クワイア、エルヴィオ ・ソーヌス合唱団、東京スコラ・カントールム、バッハコア横浜、オルフ祝祭合唱団ヴォイストレーナー。
Purcell Project 、Salicus Kammerchor、EX NOVO、プロムジカ使節団の演奏会および録音に参加。

国際古楽コンクールを終えて

第36回国際古楽コンクール<山梨>小林恵さま

ーーコンクール、お疲れさまでした。コンクールを終えて今現在のお気持ちをお聞かせください。

小林
これまであまりコンクールに出場する機会がなかったのですが、今回思いがけず良い結果をいただくことができ、大変ありがたく思っています。

ーー練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?

小林
言葉を話す、意味や内容をより明確に伝えられるよう意識して取り組みました。
そのため、声を出して歌う練習よりも、楽譜をじっくり読み込む時間を多く取り、さまざまなアイディアを普段よりもバリエーション豊かに、より具体的なイメージを持って表現できるよう心がけました。

予選で演奏する曲は数日前にご案内いただけたため、曲順を考えたり、それらの曲を通して演奏する準備を整えることもできました。

ーーコンクール準備期間にこころがけたことは何かありますか?

小林
準備期間中は、練習内容がルーティン化しないように気をつけました。
たとえば、練習する順番を変えてみたり、時間帯を朝にしたり夜にしたりするなど、日々の練習に変化をつけたり…。表現についても、ひとつの形に固定せず、比較的フレキシブルに変えてみることを心がけました。
長い期間、丁寧に向き合う曲だからこそ、常に新鮮な気持ちで音楽に向き合い、再現ではなく、歌うたびその音楽に感動できるように、練習のペース配分にも気を配りました。

ーーなぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

第36回国際古楽コンクール<山梨>
小林恵さま

小林
私は古楽科で学んだのですが、日本では古楽に特化したコンクールは数が限られているため、ぜひ挑戦したいと思い今回参加しました。

一定期間、集中的に曲に向き合うことで、自分の知らないことを少しでも多く学び、表現の引き出しを広げ、試行錯誤しながら音楽に取り組む時間を持ちたいと考え、参加に至りました。

ーー本番を迎えた当日のお気持ちをお聞かせください。

小林
演奏会で歌うときとは雰囲気が大きく異なるため緊張感もありましたが、独特の空気の中で、どれだけこわばらずに自由に表現できるか、今日の演奏で自分に何ができるかを試すことが楽しみでもありました。

出番が午後の遅い時間だったので、それまでの時間を上手に過ごせるよう意識しました。

ーー国際古楽コンクール<山梨>に挑戦する方へのメッセージをお願いします。

小林
歴史あるコンクールではありますが、雰囲気はとても温かく、出場者同士も切磋琢磨しながら、仲間のような存在として感じられます。

旋律楽器と声楽の両部門が同年に開催されるため、楽器や歌といった垣根を越えてさまざまな方と知り合うことができますし、期間中には昨年度の受賞者によるコンサートなどを聴ける機会も多く、情報交換や交流の輪を広げるきっかけにもなります。

ーーー今後の目標などをお聞かせください。

小林
言葉を大切に伝えられる歌手になれたらと思っています。

さらに古楽への理解を深めながら、レパートリーも開拓しつつ、ソロでもアンサンブルでもさまざまな経験を積んで学びを深めていけたらと考えています。

小林さんの音楽に対するまっすぐで柔軟な姿勢が、とても印象的でした。毎回新鮮な気持ちで音楽に向き合い、言葉の意味を大切にしながら表現を深めていく姿から、声楽に対する探究心が伝わってきました。
古楽という専門領域に真摯に取り組みつつ、仲間とのつながりや学びの広がりも楽しんでいらっしゃる様子がとても素敵で、心から尊敬します。今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。これからも応援しております。

小林恵information

●6/1 (日)14時開演 浦安音楽ホール
エクス・ノーヴォ 《倫理的・宗教的な森》全曲演奏シリーズ
第3回「洗礼者聖ヨハネ誕生の晩課」〜コントラファクトゥム(替え歌)と共に〜


●6/7(土) 14時開演 第一生命ホール
東京バロック合唱団 定期演奏会

●6/14(土) 14時開演 フィリアホール(横浜市)
バッハコア横浜 第5回演奏会

●6/19(木) 19時開演 大泉学園ゆめりあホール
メンデルスゾーンのリート・ピアノ・アカペラ作品で贈る音楽の花束Blumenstrauss vol.1

●6/28(土) 14時開演 カトリック豊島教会
東京スコラ・カントールム 第66回定期・慈善演奏会
イベリア半島と北イタリアの聖堂の響き 後期ルネサンスからその先へ 

いずれも関東圏の演奏会ですが、ぜひお越しいただけましたら嬉しいです。
小林恵

第36回国際古楽コンクール<山梨>2025の概要については下記をご覧ください。

第36回国際古楽コンクール<山梨>2025の結果については下記をご覧ください。