活水中学校・高等学校 / 松陽高等学校 ──「吹奏楽の甲子園」全日本吹奏楽コンクール出場校の軌跡2026(九州支部)

今年も6月から各地で吹奏楽コンクールが開催され、ホールに熱演が響き渡った。もっとも注目を集める高等学校の部は、出場する全30校が決定。今回は九州支部(福岡・佐賀・長崎・大分・宮崎・熊本・鹿児島・沖縄)から出場する2校のコメントをお届けしたい。


取材・文:オザワ部長

世界でただひとりの吹奏楽作家。神奈川県立横須賀高等学校を経て、早稲田大学第一文学部文芸専修卒。在学中は芥川賞作家・三田誠広に師事。 主著に『吹部ノート 12分間の青春』(日本ビジネスプレス)、『空とラッパと小倉トースト』(Gakken)など。小学校合唱部を描いた『とびたて!みんなのドラゴン 難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険』(岩崎書店)は2025年度の課題図書に選定。詳しくはこちら>>


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活水中学校・高等学校吹奏楽部(長崎)

活水中学校・高等学校吹奏楽部
写真提供:活水中学校・高等学校

長崎県の女子校、活水中学校・高校吹奏楽部は、2025年の全日本吹奏楽コンクールで創部初の金賞に輝いた。

実はその大会直前、「2026年度以降の中学校募集停止」という発表があった。これまで中学生を交えて合同で活動してきた同部にとって、それはあまりに厳しいニュースだったが、部員たちはその逆境を見事に吹き飛ばし、最高の栄誉を手にしたのである。

そして、今年も7大会連続8回目の九州代表に選ばれた。課題曲は《あつまれ おもちゃのマルチャ!》、自由曲は《ブリュッセル・レクイエム》(ベルト・アッペルモント)だ。

顧問の杉町たまみ先生はこう語る。

「例年に比べると3年生の人数が多く、トランペットやトロンボーンは昨年のメンバーがそのまま残っていました。そこで、金管がしっかり生きる《ブリュッセル・レクイエム》を選びました」

サウンド面では、先生はこんな目標を抱いて指導をしてきた。

「響きを『野菜』とするなら、音の振動は『肉』。バランスを考えながらも、いままでよりしっかり『肉』のついた演奏を目指しました」

冒頭はクラリネットソロで始まるが、そのソリストは活水中学校から活動を続け、今年が6年目の部員。その音を活かしたかったと杉町先生は言う。

九州大会については、先生はこう振り返る。

「課題曲はほぼ予定どおりの演奏。自由曲は前半で『あらら……』と思うような部分があり、部員たちもそんな表情をしていたので、『コンクールは怖いな』と思いました。ただ、最後は大きな拍手と声援をいただけたので、『笑顔で帰ろう』と言ってバスに乗り込みました」

九州大会は、大会の1カ月ほど前に熊本で発生した地震の影響で会場での表彰式はなし。学校に戻って、音楽室のモニタで結果発表を見た部員たちは、九州代表決定に歓喜した。

部長でフルート担当の濵崎美友さん(3年)は全国大会への意気込みをこう口にする。

「金賞しかないと思っています。去年の結果はプレッシャーになっていますが、今年のメンバーの色を出して演奏したいです」

鹿児島県立松陽高等学校吹奏楽部(鹿児島)

鹿児島県立松陽高等学校吹奏楽部
写真提供:鹿児島県立松陽高等学校

「5月のバンドクリニック(日本吹奏楽指導者クリニック)に出演するまでは三澤慶作曲の《ラ・メール 〜クロード・ドビュッシーのレミニサンス》を自由曲のつもりで練習していたんですが、いろいろ悩んだ末、オットリーノ・レスピーギの《4つの交響的印象「教会のステンドグラス」より》に決めました」

そう語るのは、鹿児島県立松陽高校吹奏楽部の顧問、立石純也先生だ。

昨年、松陽高校は20年ぶりに全国大会金賞に輝いた(20年前も立石先生が顧問)。取り上げたのは《教会のステンドグラス》と同じレスピーギ作曲の《交響詩「ローマの祭り」より》だった。だが、今年の選曲はレスピーギつながりというわけではない。

「僕は松陽高校の卒業生なのですが、当時トランペットパートの後輩だった故・美座賢治先生が、僕のあとに松陽高校の顧問を引き継ぎ、2008年に演奏したのが《教会のステンドグラス》でした。あと一歩で全国大会だったんです」

後輩も愛した大切な曲で挑んだ今年のコンクール。苦労も多かったという。

「県大会も九州大会も、出場順がもっとも不利と言われる朝イチで、ブルーになりました。ただ、そのことを理由にして代表を逃したくはない、という意地はありました。僕自身はジョギングが日課で毎朝3時に起きているので問題ないのですが、部員たちは本番に合わせて早朝に集合させ、午前中で練習終了、という朝イチ対策をしました」

立石先生は、今年のメンバーにはソロコンテストなどで優秀な成績を収めた、個人技の高い部員が多いと語る。

「ただ、まとまりがなく、わがまま放題で(笑)。それをバンドとしてまとめ上げました」

松陽高校は九州大会で、抜群の技術力に裏打ちされた《教会のステンドグラス》を披露。最後の音が静寂の中に消えると同時に、拍手とブラボーが響き渡った。

結果は見事金賞。7大会連続12回目の全国大会出場が決定した。

部長でアルトサックスを担当する原口さん(3年)は全国大会への意気込みをこう明かしてくれた。

「金賞を達成するのはもちろん、残された日々をどう過ごしていくか。その過程を大切にしたい。いまの松陽高校のいちばんの演奏ができるように練習していきます」

活水中学校・高校と松陽高校に玉名女子高校(熊本)と精華女子高校(福岡)を加えた昨年の九州代表4校は、すべて全国大会金賞だった。そして、今年の代表も同じ顔ぶれとなっている。

全国屈指の激戦区・九州の代表として、今年も情熱あふれる演奏を期待したい。

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