2025年【第5回】国際声楽コンクール東京 声楽専攻部門【グランプリ部門】第1位 ナ・ハンユさんにインタビュー!

第5回国際声楽コンクール東京受賞者インタビュー:ナ・ハンユさま

2025年11月26日(水)、小金井宮地楽器ホール・大ホールで行われた「2025年【第5回】国際声楽コンクール東京 声楽専攻部門【グランプリ部門】」にて第1位を受賞されたナ・ハンユさん。今回は同コンクールをはじめ、これから音楽コンクールに挑戦する方に向けてお話を伺いました。


取材・文|編集部

自分にピッタリな音楽コンクールが見つかる!国内外の音楽コンクール情報や結果まとめをわかりやすくご紹介し、次世代の音楽家や音楽ファンの皆様に寄り添います。


プロフィール

ナ・ハンユ(NA Han-yu)
韓国在住。ソウル大学校で学士号を取得、韓国芸術総合学校で修士課程を修了。

偶然耳にした声楽に深く魅了され、趣味のレッスンからスタート。現在はその道を専門とし、日々学びを深めている。

趣味・特技

日々の音楽鑑賞が欠かせないほどの音楽好き。また、リフレッシュを兼ねた散歩も趣味の一つ。

主な受賞・出演(抜粋)

コンクール受賞歴
2023年 SDソウル国際声楽コンクール 大賞
2023年 ソルリム声楽コンクール 第1位
2023年 梨花・京郷音楽コンクール 第3位
2023年 音楽ジャーナル・コンクール 第1位
2024年 オッタヴィオ・ツィーノ国際オペラコンクール セミファイナリスト
2024年 韓国国立オペラ・コンクール 銀賞
2025年 ザンドナーイ国際コンクール セミファイナリスト
2025年 大邱国際声楽コンクール(WFIMC) 特別賞
2025年 国際声楽コンクール東京 声楽専攻部門【グランプリ部門】第1位

オペラ出演
2022年 G. ドニゼッティ『アンナ・ボレーナ』/役:エンリコ (Enrico) / KNUAホール
2022年 G. ヴェルディ『アッティラ』/役:レオーネ (Leone) / ソウル・アーツ・センター
2023年 G. プッチーニ『ラ・ボエーム』/役:マルチェッロ (Marcello) / KNUAホール
2023年 G. ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』/役:一人のジプシー (Un Zingaro) / ソウル・アーツ・センター

合唱団とのソロ共演
2022年 J. S. バッハ:カンタータ第45番 『人よ、何が善いことか、あなたに告げられている』 (BWV 45)
2022年 J. S. バッハ:カンタータ第44番 『彼らはあなたを破門するだろう』 (BWV 44)
2023年 M. デュリュフレ:『レクイエム Op.9』 (Requiem, Op.9)
2024年 F. J. ハイドン:『戦時のミサ』 (Missa in Tempore Belli)
2025年 W. A. モーツァルト:『戴冠ミサ』 (Coronation Mass)

国際声楽コンクール東京を終えて

国際声楽コンクール東京
ⓒ国際声楽コンクール東京

──コンクール、お疲れさまでした!終えた今のお気持ちをお聞かせください。

ナ・ハンユ
大会を良い結果で終えられたことに、ただただ感謝しています。実は決勝の前に体調が優れない時期があり、いくつかの困難もありましたが、こうして評価をいただけたことは本当に有り難いことだと感じています。 受賞は大変嬉しいですが、同時に、これからさらに多くのことを成し遂げるためには、まだまだやるべきことがたくさんあると身が引き締まる思いです。

──なぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

ナ・ハンユ
この機会に初めて日本を訪れたい!という気持ちと、素晴らしいコンクールで入賞したいという思いで参加を決めました。これまでの研究と、新しいレパートリーで良い成果を出せるよう、目標を定めて挑戦しました。

──自由曲は何を演奏されましたか?選曲理由も教えてください。

ナ・ハンユ
決勝では、マスネのオペラ『エロディアード』から「儚い幻(Vision Fugitive)」、ヴェルディのオペラ『リゴレット』から「悪魔め、鬼め(Cortigiani, vil razza dannata)」、そしてラフマニノフの「春の流れ(Spring Waters)」を準備しました。

コンクールのプログラムを決める際、最も歌いたい曲を準備するように心がけており、『リゴレット』のアリアは、今回のコンクールのために初めて準備し、歌いました。ドラマティックで表現豊かなアリアを準備する中で、多くのことを学べたと思います。

──コンクール準備期間について教えてください。

ナ・ハンユさま

ナ・ハンユ
私の先生からは、「たとえ小さな音楽的なイメージであっても、常に聴衆の立場になって考え、表現するように」とご指導いただきました。私はその点に特に気を配り、個人的には音程や歌詞を深く理解するよう努めました。

また、決勝は約12分間という長丁場だったため、全体のペース配分にも気を配りましたが、体力面では少し不足していたと感じています。今回の経験を糧に、さらに磨きをかけていきたいです。

──練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?

ナ・ハンユ
練習の際は、正確な音程とリズムを守ることはもちろん、歌詞がその文脈の中で生きた言葉として伝わるよう、意識して取り組みました。また、3曲連続の演奏であっても、最後までしなやかさを失わず、柔軟に歌い切るためのトレーニングを重ねました。

──本番当日のお気持ちをお聞かせください。

ナ・ハンユさま

ナ・ハンユ
当日は非常に体調が悪くなってしまったため、体力を温存することに徹しました。演奏の後半では体調の影響で困難な瞬間もありましたが、「最後まで良いパフォーマンスを届けたい」という一心で、より一層集中するよう努めました。

──国際声楽コンクール東京に挑戦する方へのメッセージをお願いします。

ナ・ハンユ
「より良い音楽」を夢見る人にとって、このコンクールは素晴らしい機会だと思います。未知の世界への不安や恐れがあるかもしれませんが、可能性が開かれている今、どうか恐れずに何度もぶつかり、挑戦してみてほしいと思います。

──今後の目標、将来の夢などをお聞かせください。

ナ・ハンユ
これからも数多くの挑戦を重ね、どんな役柄でもしっかり表現できる魅力的な歌手になりたいです。私に許された残りのコンクールにも精一杯挑み、演奏家としてさらに飛躍できる機会を掴み取れるよう、一日一日を大切に努めてまいります。ありがとうございました。

ナ・ハンユさま

インタビューを終えて──編集後記

子供の頃に「趣味」として始めた声楽が、今や人生を懸けた専門の道へ。そんな情熱の原点を持つナ・ハンユさんは、今回「日本を訪れたい」という素直な憧れを抱いて、このコンクールへと挑戦してくださいました。

予期せぬ体調不良という逆境に見舞われつつも、それを乗り越えたのは「良いパフォーマンスを届けたい」という一心から生まれた圧巻の集中力でした。常に「今、最も歌いたい曲」を追求し、高みを目指し続ける彼の言葉は、挑戦を迷う人の背中を優しく押してくれるのではないでしょうか。

ナ・ハンユさんの夢がこれからも大きく羽ばたいていく姿を、心より応援しております。お忙しいところ、素敵なお話をありがとうございました。

第5回国際声楽コンクール東京の概要については下記をご覧ください。

第5回国際声楽コンクール東京の結果については下記をご覧ください。