第69回全東北ピアノコンクール第1位、文部科学大臣賞 伊藤未依菜さんにインタビュー!

伊藤未依菜さまインタビューアイキャッチ

2025年6月8日(日)に宮城野区文化センター パトナホールで行われた「第69回全東北ピアノコンクール」において第1位・文部科学大臣賞を受賞された伊藤さん。

今回は同コンクールや音楽コンクールに挑戦される方へ向け、お話を伺いました。


取材・文|編集部

自分にピッタリな音楽コンクールが見つかる!国内外の音楽コンクール情報や結果まとめをわかりやすくご紹介し、次世代の音楽家や音楽ファンの皆様に寄り添います。


プロフィール

伊藤未依菜(いとう みいな) Instagram

秋田県秋田市出身
秋田県立秋田高等学校3年(在学中)

1歳よりカワイ音楽教室でリトミックを始め、2〜3歳でピアノに取り組む。
小学生の頃より全国各地のコンクールに出場し、ピアノのみならず作曲部門でも受賞歴を持つ。

また、チェロや合唱にも取り組み、東京藝術大学の早期教育プロジェクトにも複数回選出されるなど、多面的な音楽活動を展開している。

Karl BARTH Master Class受講。Pascal Devoyon 特別レッスン受講。

佐藤和穂、迫昭嘉の各氏に師事

趣味・特技

JKらしい映え写真や動画を撮ることが好きです。

受賞歴・演奏活動歴(一部抜粋/代表的なもの)
第12回・第19回セシリア国際音楽コンクール 第3位
第34回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール 全国大会 ピアノ部門第3位・作曲部門第3位
第8回全日本ジュニアピアノコンクール B課程全国大会金賞
第29回東北青少年音楽コンクール 本選会金賞・審査委員長賞
第23回秋田県青少年音楽コンクール ピアノ部門グランプリ・グランプリ受賞者として秋田県芸術選奨表彰式にて演奏
第54回カワイピアノコンクールソロ部門全国大会大賞・第55回カワイピアノコンクール全国大会にて前年度の大賞受賞者として特別演奏
第23回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 中学生部門 アジア大会銅賞 コンチェルトB部門 アジア大会銀賞
2024年ピティナ・ピアノコンペティション F級本選第1位・全国大会ベスト賞
第18回・第24回ショパン学生ピアノコンクール in TOHOKU 本選会金賞
第15回ヨーロッパ国際ピアノコンクール in Japan 全国大会 特別コース中高生の部銅賞 (最高位)
第69回全東北ピアノコンクール第1位・文部科学大臣賞

2025年3月自身初のファーストピアノリサイタルを秋田市アトリオン音楽ホールにて開催

所属・研修歴
昭和音楽大学附属ピアノアートアカデミー(2018〜2019年度)
コールエンジェル
アトリオン少年少女合唱団
秋田県青少年オーケストラ(チェロ)
東京藝術大学音楽部「早期教育プロジェクト」(2018・ 2019・2021年度)
「2019特別企画ソルフェージュ」選出・受講

全東北ピアノコンクールコンクールを終えて

全東北ピアノコンクール伊藤さま
ⓒ全東北ピアノコンクール

ーーコンクール、お疲れさまでした。コンクールを終えて今現在のお気持ちをお聞かせください。

伊藤
コンクールを終えて、まずはほっとしています。
そして、第1位ならびに文部科学大臣賞をいただけたことに、喜びを噛みしめています。

全東北ピアノコンクールという大きな舞台では、これまで積み重ねてきた練習の成果を出し切り、自分の音楽を精一杯表現できたと思います。
演奏を振り返ると細かな反省点も多くありますが、それ以上に、今の自分なりにできる限りの表現をやりきれたという達成感の方が大きく残りました。

このような素晴らしい賞をいただけたのは、決して自分一人の力だけではなく、ご指導くださった先生方や、日々そばで支えてくれた家族、そして応援してくださった皆さまのおかげだと心から感じています。

この経験を糧に、これからもより深い音楽を目指して、努力を重ねていきたいと思います。

ーー練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?

伊藤
本番で自分らしい演奏ができるようにと、練習の段階から常に“人前で弾いているつもり”で集中して取り組むことを意識しました。
自分だけの世界で完結するのではなく、聴いてくださる方にどうやって自然な流れの音楽を届けられるかを考えながら、感情の流れやフレーズの中の呼吸、間の取り方にまで気を配って練習を重ねました。

特に本番が近づくにつれ、「完璧に弾こう」と思いすぎて演奏が固くならないよう注意しました。
うまく弾くことよりも“伝えること”を大切に、音楽に込めた想いが届くよう、自分の気持ちと向き合いながら練習に取り組みました。

その積み重ねが、本番での演奏の自由さや表現の深さにつながったと感じています。

ーーコンクール準備期間にこころがけたことは何かありますか?

伊藤
スケルツォ第1番は、半年前から取り組み始めた曲で、これまでに何度かステージで演奏する機会もありました。その中で少しずつ自分なりの解釈を深め、フレーズごとの表情や流れを意識しながら、表現を磨いていきました。

一方で、ベートーヴェンのソナタは予選を終えてから譜読みを始めたため、時間的な余裕はあまりありませんでしたが、その分、より集中して作品と向き合いました。

ピアニストの演奏をCDやYouTubeで聴き、構成やテンポ感を研究しつつ、自分自身がこの作品から何を感じ、どんな音楽を届けたいのかを丁寧に考えました。

限られた時間の中ではありましたが、どちらの曲にも真剣に向き合えたことで、準備の時間そのものが自分を成長させてくれた、かけがえのない経験になったと感じています。

ーーなぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

全東北ピアノコンクール 伊藤さま
©全東北ピアノコンクール

このコンクールは、小さい頃からずっと憧れていた舞台で、出場すること自体が私にとって大きな目標でした。

中学2年のときに初めて挑戦し、今回で4回目の出場となります。これまでに東北放送奨励賞を2度いただきましたが、予選落ちとなってしまった年もあり、そのときは本当に悔しくて、帰りの車の中でずっと泣いていたことを今でも覚えています。

「もっと納得のいく演奏と結果を残したい」という思いがあり、今回こそは成長した自分でこの舞台に挑みたいという強い気持ちがありました。

過去の悔しさや経験をバネにして、自分の音楽をこの大きな舞台で精一杯表現したいと思い、今回の挑戦を決めました。

ーー本番を迎えた当日のお気持ちをお聞かせください。

伊藤
本番当日は、やはり少し緊張していましたが、これまで準備してきたことを思い出し、落ち着いて舞台に向かうことができました。

直前には不安やプレッシャーも感じましたが、いざピアノに向かうと、自然と音楽に集中することができ、自分の世界に入っていくような感覚がありました。

演奏中はホールの響きをよく聴きながら、間の取り方に最も気を配って弾きました。

細かいことを考えすぎず、その場で感じたことも大切にしながら、自分らしい表現を心がけました。演奏を終えたときには、「今の自分を出し切れた」と思える演奏ができたことに、安心と嬉しさが同時に込み上げてきました。

ーー全東北ピアノコンクールに挑戦する方へのメッセージをお願いします。

伊藤
このコンクールは課題曲があることで、他のコンテスタントとの音楽の違いを感じ、自分の音楽に改めて真剣に向き合える貴重な機会になると思います。

練習の中では、思うように弾けずに悩むこともあるかもしれませんが、そのひとつひとつが確実に自分の力になっていくと信じています。

本番はどうしても緊張してしまうものですが、これまで積み重ねてきた時間を信じて、自分らしく演奏することが何より大切だと実感しました。大変なこともあると思いますが、その努力した過程は必ず自分の成長につながっていくと信じて、今の自分にできる最高の音楽を聞かせてください。

全東北ピアノコンクールへの挑戦を、心から応援しています。

ーーー今後の目標などをお聞かせください。

伊藤
今は音楽大学への進学を目指して頑張っています。受験に向けて、一つひとつの作品と丁寧に向き合いながら、音楽への理解を深めていくことを大切にしています。

演奏を通して作曲家の思いや作品の魅力を、自分の表現で伝えられるよう、これからも真摯に音楽と向き合っていきたいです。将来的には、音楽の道を長く歩み続けながら、自分らしい表現を追求し続けられる演奏家になれたらと思っています。

ーーー初めてのソロピアノリサイタルについてぜひお聞かせください。

伊藤
17歳だからこそ表現できる音や感情が引き立つ曲を中心に選びました。
初めてのリサイタルということもあり、普段ピアノリサイタルにはあまり足を運ばない学校の友人や先生、親戚、各方面でお世話になっている方々にもご来場いただく予定だったため、「革命」「木枯らし」「英雄」などの有名曲も取り入れ、聴きやすさにも配慮しました。

こだわったのは、さまざまな作曲家のエチュードを連続で演奏する構成です。
それぞれの個性や技術の違いを感じていただきたいという思いがありました。
ベートーヴェンのピアノソナタ第3番は、若々しさと楽章構成の美しさが自分に合っていると感じ、選曲しました。

アンコールは悩んだ末、「別れの曲」を選びました。誰もが知る名曲であり、3月という季節にもふさわしく、感動を届けられたらという思いで演奏しました。

演奏を終えてステージ上からお辞儀をしたとき、客席で涙を流してくださっている方の姿が目に入り、私自身も感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。

初めてのリサイタルには不安もありましたが、自分を信じて準備を重ねてきました。
リサイタルは体力・集中力・精神力のすべてが求められる舞台であり、自分と向き合い続ける日々でもありました。
本番では多くの温かい拍手や言葉に励まされ、周囲の方々の支えのおかげで無事に終えることができました。

演奏を通して、自分の音楽を届けることの喜びと、その裏にある責任の重さを実感しました。
この経験は、「音楽を届けたい」という思いを、より確かなものにしてくれたと感じています。

伊藤さんのインタビューからは、音楽に対する真摯な姿勢と、自分自身と深く向き合いながら成長を重ねてきた歩みがまっすぐに伝わってきました。
小さい頃から憧れていた全東北ピアノコンクールという舞台で、何度も挑戦し、悔しい経験も乗り越えながら積み重ねてきた努力が、今回の第1位という結果につながったことに、胸が熱くなりました。

練習の中で常に“伝えること”を大切にし、聴く人の心に届く音楽を目指していたという姿勢には、演奏家としてとても大切なものが込められていると感じます。

また、リサイタルの選曲や構成にも、来場する方への想いや、自分の音楽をどう届けたいかという細やかな配慮が込められており、演奏に対する深い愛情と責任感がにじんでいました。
リサイタルを通して得た「音楽を届けることの喜び」と「その裏にある責任の重さ」という言葉には、これから演奏家としてさらに大きく羽ばたいていくための確かな礎が感じられます。

音楽大学への進学という新たな目標に向かって、丁寧に一歩ずつ進んでいかれる伊藤さん。その先に、きっとさらに多くの人の心を動かす音楽があると信じています。

お忙しいところありがとうございました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

伊藤未依菜information

●2026年6月14日あきた芸術劇場ミルハス大ホール【コンサート】
国際ソロプチミストの団体様からご依頼いただきました。
詳細については、後日Instagramにてお知らせいたします。

伊藤未依菜

第69回全東北ピアノコンクールの概要については下記をご覧ください。

第69回全東北ピアノコンクールの結果については下記をご覧ください。