「東関東支部じゃなければ全国大会に行けたかも」という声も聞こえてくるほど、毎年熾烈な戦いを繰り広げる東関東支部。茨城県、栃木県、千葉県、神奈川県の4つの県で構成されますが、なかでも千葉県の勢いには目を見張るものがあります。
本記事では、そんな東関東支部のなかで、輝かしい実績を持つ強豪高校10校をピックアップ!演奏動画を添えて、各校の特徴・強みを紹介します。
ぜひ最後まで読んで、全日本吹奏楽コンクール前の予習に役立ててくださいね。
柏市立柏高等学校(千葉県)
最近5年の全国大会出場は、2021年、2022年、2023年、2024年。1984年に初の全国大会でいきなり金賞を受賞し、以降は全日本吹奏楽コンクールでの上位常連校として名を馳せています。全国最多クラスとなる34回の出場と、金賞19回という輝かしい実績を持つ東関東の雄です。
全日本マーチングコンテストには26回連続出場、日本管楽合奏コンテストには25回連続出場を果たし、アンサンブルコンテスト等でもよい成績を収めています。
演奏技術・表現力ともに高校生離れしたレベルで、毎年の定期演奏会でもプロ顔負けのパフォーマンスを披露。全曲暗譜で演奏し激しいダンスを取り入れるなど、エンターテイメント性も抜群です。ステージングとサウンドの素晴らしさでは他校の追随を許しません。
習志野市立習志野高等学校(千葉県)
最近5年の全国大会出場は、2021年、2022年、2023年、2024年。近年連続で全国大会に出場している(新型コロナウイルスの影響で大会が中止となった2020年は除く)強豪校です。マーチングでも全国金賞の常連校です。
部員数は100人を超えており、演奏レベルの高さに加えて“美爆音” と称される迫力あるサウンドも魅力です。
夏の高校野球応援でも全国的に有名で、テレビ中継でもたびたび取り上げられています。「習志野高校といえば野球応援」と言われるほど、野球応援へも力を入れています。
千葉県立幕張総合高等学校(千葉県)
最近5年の全国大会出場は、2023年、2024年。金賞の連続受賞という偉業を成し遂げました。これまでに4回全国大会に出場しており、いずれも金賞を獲得。東関東大会での金賞常連校です。
部の正式名称は「シンフォニックオーケストラ部」で、その名の通りオーケストラと吹奏楽の活動を融合させているユニークな部です。通常スタイルは管弦楽部(オーケストラ)でありながら、吹奏楽編成を組んで毎年吹奏楽コンクールに出場しています。
重厚なハーモニーや繊細な表現力が特徴で、さまざまなコンクールで活躍の幅を広げています。プロ顔負けの完成度と豊かな音楽性で、近年最も注目される吹奏楽部の一つです。
船橋市立船橋高等学校(千葉県)
最近5年は全国大会に出場していないものの、東関東大会には度々出場しており、2024年には金賞を受賞しています。マーチングでも全国大会出場歴があり、総合力の高いバンドです。
市立船橋高校はスポーツ強豪校として有名ですが、過去には吹奏楽部も全国大会出場経験があります。2007年には全日本吹奏楽コンクールに初出場を果たし、銀賞を受賞しました。
部員数は100名規模と大所帯で、チームワークの良さと明るい雰囲気が持ち味。応援団と一体になった迫力ある演奏で高校野球の応援も盛り上げています。定期演奏会では演奏・ダンス・タップ・合唱を融合させたオリジナルの「吹劇(すいげき)」を披露するなど、創意工夫あふれるステージングにも定評があります。
2022年には市立船橋高校吹奏楽部がモデルとなった『20歳のソウル』という映画が公開されました。
常総学院高等学校(茨城県)
最近5年の全国大会出場は、2021年、2022年。2021年には銀賞、2022年には銅賞を受賞しました。1989年に初の全国大会出場を果たして以来、全国大会出場20回以上出場している東関東の名門校で、金賞も数多く受賞しています。
スローガンは「才能より努力」。顧問の本図智夫先生は部の創立時から現在まで指導を続けており、生徒たちは高い目標を持って日々鍛錬を重ねています。コンクールでは顧問の本図先生編曲によるオーケストラ作品を、自由曲として演奏するケースがよく見られます。
コロナ禍でコンクールが中止となった2020年には3年生のために特別演奏会を開催し、その模様がYouTubeで公開するなど、部員思いで発信力のある一面も持っています。「努力の常総」の伝統は今も健在で、確かな実績に裏打ちされた信頼の強豪校です。
作新学院高等学校(栃木県)
最近5年は全国大会に出場していないものの、東関東支部大会には毎年のように出場しています。2014年~2019年にかけては、6年連続で東関東大会金賞を達成しました。
近年も安定して県代表の座を守り続けており、演奏の完成度は極めて高いと言えるでしょう。全国大会へは1999年と2007年に出場実績があります。
作新学院の吹奏楽部は、1957年創部という長い歴史を持ちます。コンクールでは正統派のシンフォニックサウンドに定評があり、特に明るく華やかな金管セクションの響きが魅力です。自由曲では、ジャンルを問わず音楽を楽しむ姿勢が感じられます。地元開催の演奏会やSNS発信にも積極的で、地域に根差した活動も光る名門校です。
横浜創英中学・高等学校(神奈川県)
最近5年は全国大会に出場していないものの、2000年代には市立柏・市立習志野と並び全国大会で華々しい活躍を見せました。近年は全国出場こそありませんが、東関東大会には引き続き出場しており、その実力は健在です。
かつて、C.T.スミス作曲「ルイ・ブルジョアの賛歌による変奏曲」や「華麗なる舞曲」など超難度の大曲に果敢に挑み、その卓越した演奏技術で聴衆を驚嘆させた同校。名物指導者であった常光誠治先生の指導により、重厚で表現豊かなサウンドを受け継いできました。
2021年に常光先生が逝去されるという悲しい出来事がありましたが、部員たちは新体制のもとで再び全国の舞台を目指して研鑽を積んでいます。全国大会へ返り咲く日が待ち望まれる、神奈川県の強豪校です。
川崎市立橘高等学校(神奈川県)
最近5年は全国大会に出場していませんが、東関東大会では金賞の常連であり、その演奏は毎回高い評価を受けています。
2019年の東関東大会では、J.シュワントナー作曲「暗黒の天使(Darkened Millennium)」を演奏。精緻かつエネルギッシュな響きで会場を魅了し、金賞を獲得しました。コンクールのみならず、定期演奏会や地域イベントでも聴衆を楽しませています。
同校の最大の特徴は躍動感あふれるパフォーマンス。マーチングコンテストで培った動きのある演奏スタイルを取り入れ、コンクールのステージ上でも体全体で音楽を表現するシーンが見られます。野球応援や地域のパレードでも橘高校サウンドは圧巻で、高校吹奏楽の枠を超えたエンターテイメント性が光ります。
東海大学付属相模高等学校(神奈川県)
最近5年は全国大会に出場していないものの、2000年代には全国大会の常連校として名を轟かせました。2003年~2011年頃にかけては毎年のように全国大会に出場し、金賞も複数回受賞しています。
近年も東関東大会には引き続き代表として進出しており、高い水準の演奏を維持しています。2021年の東関東大会では金賞を獲得しました。
歌心あふれるドラマティックなサウンドが持ち味。コンクール自由曲ではレスピーギ「シバの女王ベルキス」など重厚な作品を巧みに表現する一方、演奏会では歌やダンスを取り入れたポップスステージで観客を魅了します。高い演奏技術とエンターテイメント性を両立させる姿は、「楽しませる吹奏楽」を体現していると言えるでしょう。
三浦学苑高等学校(神奈川県)
最近5年は全国大会に出場していません。しかしながら、ここ10年ほどで頭角を現してきた新進気鋭のバンドで、東関東大会の常連校です。
2021年の東関東大会では金賞を受賞。全国大会まであと一歩に迫る活躍を見せています。2022年には、横浜みなとみらいホールで開催される日本高等学校吹奏楽連盟主催の「第24回全日本高等学校吹奏楽大会in横浜」に出場し、連盟理事長賞を受賞しています。
部員数はそれほど多くないものの、一人ひとりの技術力と表現力が高く、小編成でも豊かな響きを作り出せるのが強みです。顧問の畠山崇先生の的確な指導のもと、曲の世界観を丁寧に描き出す音楽づくりに定評があります。若いバンドらしいフレッシュさと勢いを持ちつつ、演奏内容は非常に緻密。初の全国大会出場が現実味を帯びてきた注目の新星です。
それぞれに個性豊かな伝統とサウンドを築き上げてきた、東関東支部の強豪校。トップクラスの実力を持っており、テレビなどで取り上げられることもよくあるため「この高校、聞いたことがある!」と思った方もいるかもしれません。
地域の枠を超えて全国レベルでしのぎを削る彼らに、多くの吹奏楽ファンが熱い視線を注いでいます。今年の吹奏楽コンクールでも、これら強豪校の熱演を、どうぞお見逃しなく!