若尾圭良、わずか1カ月で米2大コンクール制覇

若尾圭良、わずか1カ月で米2大コンクール制覇
画像出典:Keila Wakao 公式サイト(写真: © Masanori Takayama)

日本にルーツを持つヴァイオリニスト若尾圭良(Keila Wakao)が、2026年3月に2つの快挙を同時に達成した。全米シャット弦楽コンクール(National Schadt String Competition)で第1位を獲得したのに続き、クラシック音楽界屈指のキャリア支援賞であるエイブリー・フィッシャー・キャリアグラント(Avery Fisher Career Grant)の2026年度受賞者にも選ばれた。同月にダブル受賞という偉業は、若尾がいよいよ国際舞台の中心に踊り出たことを印象づける。

シャット弦楽コンクール、第1位に輝く

1997年に創設されたナショナル・シャット弦楽コンクールは、ペンシルベニア州アレンタウン(Allentown)を舞台に隔年で開催される。ヴァイオリンとチェロを交互に対象楽器とするユニークな形式で知られ、2026年はヴァイオリン部門の開催年にあたった。

コンクールは2026年3月8日にミラー・シンフォニー・ホール(Miller Symphony Hall)で行われ、若尾が第1位(First Prize)を獲得。賞金1万2,000ドルのほか、2027年2月13日・14日にアレンタウン交響楽団(Allentown Symphony Orchestra)とソリストとして共演する権利を手にした。

第2位はヴァイオリニストのイェビン・ユ(Yebin Yoo)が受賞(賞金5,000ドル)、第3位と聴衆賞の2冠はヴァイオリニストのジュヨン・ダイアナ・リー(Juyeon Diana Lee)が射止めた(賞金2,500ドル)。

同月、エイブリー・フィッシャー・キャリアグラントも受賞

3月24日、若尾にさらなる朗報が届いた。1976年に創設されたエイブリー・フィッシャー・キャリアグラントの2026年度受賞者に選ばれたのだ。

同グラントはクラシック音楽でのメジャーキャリアを目指す器楽奏者を支援・顕彰することを目的とし、これまでにサラ・チャン(Sarah Chang)、ユジャ・ワン(Yuja Wang)ら錚々たるアーティストが受賞してきた歴史を持つ。受賞者は183名に上り、その名を連ねること自体が高い評価の証と言える。

若尾には賞金2万5,000ドルが贈られる。同年度の受賞者はほかに、ヴァイオリニストのネイサン・メルツァー(Nathan Meltzer)、チェリストのリーランド・コ(Leland Ko)、ピアニストのドミトリー・ユーディン(Dmitry Yudin)の3名。授賞式は同日夜、ニューヨークのグリーン・スペース(Greene Space)で開催され、各受賞者による演奏も披露された。

「セオドア」ストラドを携えた若き実力者

若尾はマサチューセッツ州出身。ジョゼフ・シルバースタイン(Joseph Silverstein)、ドナルド・ワイラーシュタイン(Donald Weilerstein)、イツァーク・パールマン(Itzhak Perlman)という名教師陣に師事し、現在はニューイングランド音楽院(New England Conservatory)でミリアム・フリード(Miriam Fried)のもとで研鑽を積んでいる。

使用楽器は1690年製の「セオドア(Theodor)」ストラディヴァリウス。

主な受賞歴も華やかだ。2021年のメニューイン国際ヴァイオリンコンクール(Menuhin International Violin Competition)ジュニア部門で第1位を獲得し、同年のスタルバーグ国際弦楽コンクール(Stulberg International String Competition)では金メダルとバッハ賞の2冠を達成。2023年には日本の青山音楽財団賞(Aoyama Music Foundation Award)を受賞し、日本とのつながりでも注目を集めた。

2027年2月、アレンタウンでの凱旋公演へ

次の大きな舞台は2027年2月のアレンタウン交響楽団との共演。シャット弦楽コンクール優勝者に与えられる晴れの舞台であり、若尾の演奏を生で聴く絶好の機会となる。

2026年3月に刻んだダブル受賞は、彼女のキャリアにおける確かなターニングポイント。今後の活躍から目が離せない。