第12回東京国際ピアノコンクール「プロフェッショナルの部」最高位(第2位)桑原菜々子さんにインタビュー!

桑原さんアイキャッチ

2025年12月20日(土)、横浜みなとみらいホール・小ホールにて開催された「第12回東京国際ピアノコンクール」。プロフェッショナルの部において、第1位該当者なしという厳格な審査が行われる中、事実上のトップである第2位(最高位)に輝いた桑原さん。
今回は、見事最高位を受賞された桑原さんに、今大会のエピソードやこれからコンクールに挑戦する方へ向けてお話を伺いました。


取材・文|編集部

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プロフィール

桑原さま

桑原菜々子(Nanako Kuwahara)

熊本県出身
桐朋学園大学カレッジディプロマコース1年

幼少期、母に連れられて近所のピアノ教室へ通い始めたのが、音楽の道を歩む第一歩となった。

これまでにピアノを清本友里恵、平田康一、平田恵理、玉置善己、関本昌平の各氏に、2台ピアノを斎木隆、石岡久乃、加藤真一郎、佐藤彦大、竹内啓子、石島正博の各氏に師事。

趣味
バレエ鑑賞、美味しいものを食べること

主な受賞歴
第41回 ピティナ・ピアノコンペティション
F級 全国決勝大会 入選

全九州高等学校音楽コンクール
第41回・第42回 金賞

第59回 北九州芸術祭クラシックコンクール
ピアノ部門賞

第23回 日本演奏家コンクール
大学生の部 第2位

第23回 ショパン国際ピアノコンクール in ASIA
コンチェルトC部門 アジア大会 銀賞

東京国際ピアノコンクール 
第9回 大学4年生の部 第1位・東京新聞賞(ウィーンでの入賞者コンサート出演)
第12回 プロフェッショナルの部 第2位(最高位)

学内選抜者によるスチューデントコンサート(2021年)、2022年ピアノ専攻卒業演奏会 出演

東京国際ピアノコンクールを終えて

桑原さま演奏

──コンクール、お疲れさまでした!終えた今のお気持ちをお聞かせください。

桑原
とにかく、今はホッとしています。当日の演奏に反省点もあったので、結果をいただいた時は本当に嬉しかったです。評価していただけたことは自信になりましたし、日頃頑張っていることに対してご褒美をいただいたような気持ちです。審査員の先生方から温かい講評をいただき、本当にありがたいと思っています。

──なぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

桑原
東京国際ピアノコンクールについては大学入学後に知り、いつか挑戦したいと憧れを持っていました。初めてのエントリーは大学4年生の時です。卒業試験を前に、自分の力を試してみたいと思い挑戦を決めました。その際、出場者の皆さんのレベルの高い演奏に刺激を受け、審査員の先生方の講評も大変勉強になりました。

昨年、大学院を卒業し、生活スタイルが少しずつ変わっていく中でも人前で弾く経験を大切にしたいと思い、今回、再度エントリーすることにしました。 東京国際ピアノコンクールは、ウィーンでの入賞者コンサートや海外マスタークラスへの助成など、演奏者にとって大変貴重な機会をいただけるチャンスでもあります。挑戦して本当によかったと感じていますし、コンクール関係者の皆様に心から感謝しています。

──自由曲は何を演奏されましたか? 選曲理由も併せて教えてください。

桑原さま

桑原
本選では、シマノフスキの「マスク」より「シェヘラザード」を演奏しました。以前からいろいろな方の演奏を聴く中で、非常に興味深い作品だと感じており、いつか挑戦してみたいと思っていた一曲です。

この曲は、シマノフスキが「千夜一夜物語」にインスピレーションを得て作曲した作品です。私自身、こうした物語を題材にした作品に強く惹かれるところがあり、この曲特有の色彩感を表現したいという想いから選曲しました。

物憂げで神秘的な場面から一気に緊張感あふれる場面へと転じたり、時にはグロテスクな表情を見せたりと、変化に富んでいて、弾く側にとっても聴く側にとっても大変興味深い作品です。 実際に取り組んでみると、複雑なリズムや多彩な音づくり、そして混沌とした中にも整然としたメロディーを際立たせることが非常に難しかったです。特に、いくつもの声部が重なっている場面では、どうすればそれぞれを生かし全体を調和させることができるのか、模索しながら取り組みました。

──コンクール準備期間について教えてください。

桑原
今回演奏した「シェヘラザード」は、勉強を始めて本番まで約半年ほどでした。どのような音色、どのような曲想であればこの曲の本質を表現できるのか、コンクール直前まで悩みました。 私はいろいろ時間がかかるタイプなので、先生方にアドバイスをいただきながら弾き方を試行錯誤し、曲と向き合ってきました。

自分が思うような演奏を具現化することはなかなか難しいのですが、テクニックや音色、表現を探究していくプロセスは学びが多く、改めて音楽の奥深さを実感しています。何より、根気強く、熱心にご指導くださる先生方には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

──練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?

桑原
テクニックの面では、私は手が小さい方なので苦労することが多いんです。そのため、部分練習やリズム練習、ゆっくり弾くなどを繰り返しおこないつつ、腕や体の使い方も工夫が必要だと日々感じます。

音色や表現については、自分の演奏を録音して客観的に聴くようにしていて、「曲の本質的なもの」や「イメージ」に近づけるよう、タッチや音色を工夫し改善しながら練習しています。いろいろな方の演奏を聴くことも学びが多いですね。

──本番当日のお気持ちをお聞かせください。

桑原さま

桑原
本番当日は、とにかく自分の演奏に集中することを意識して臨みました。今回に限らず、本番はやはり緊張が伴いますから、いつも本番ギリギリまでその曲を聴き、イメージを膨らませて自然と音楽の世界に入り込めるよう努力しています。

──東京国際ピアノコンクールに挑戦する方へのメッセージをお願いします。

桑原
私は、コンクールは「挑戦することに意義がある」と考えています。うまくいく時もあれば、そうでない時もありますが、コンクールに出場するために積み重ねてきた努力は、必ず自分自身の力となり、次のステージへと導いてくれるはずです。 自分を信じて、頑張ってください。

──今後の目標、将来の夢などをお聞かせください。

桑原
まずは演奏者として、さらに成長していきたいと思っています。コンクールやマスタークラスにも積極的に参加したいですし、チャンスがあれば演奏会も企画したいですね。これからも真摯に音楽と向き合いながら、作曲家の意図や曲の素晴らしさを表現できるよう、学んでいきたいと思います。また皆様に演奏を聴いていただける日を楽しみに、精一杯頑張ります。

インタビューを終えて──編集後記

東京国際ピアノコンクールという非常にハイレベルな舞台で素晴らしい結果を収められた桑原さん。そのお人柄はどこまでも穏やかで、音楽に対する誠実な姿勢と、内に秘めた静かな情熱がまっすぐに伝わってきました。

ご自身のことを「手が小さくて苦労する」「時間がかかるタイプ」と謙虚に分析されていましたが、その分、録音による客観的なチェックや地道な練習を厭わず、納得がいくまで一歩ずつ音楽を深めていく姿がとても印象的です。

「挑戦することに意義がある」という言葉通り、自分を信じて努力を積み重ねてきたからこそ、今回の評価へと繋がったのだと感じました。演奏者として、そして後進を導く存在として、これからも真摯に音楽の道を歩んでいく桑原さんを心から応援しています。お忙しいところ、ありがとうございました。

第12回東京国際ピアノコンクールの概要については下記をご覧ください

第12回東京国際ピアノコンクールの結果まとめについては下記をご覧ください