第7回日本奏楽コンクール準グランプリ、弦楽器部門【小学中学年の部】第1位・Étoile賞 柳井真那さんにインタビュー!

柳井真那さまアイキャッチ

2025年8月16日(木)、品川区立五反田文化センターで行われた「第7回日本奏楽コンクール」において準グランプリ、さらに、弦楽器部門【小学中学年の部】第1位・Étoile賞を受賞した柳井さん。今回は同コンクールをはじめ、これから音楽コンクールに挑戦する方に向けてお話を伺いました。


取材・文|編集部

自分にピッタリな音楽コンクールが見つかる!国内外の音楽コンクール情報や結果まとめをわかりやすくご紹介し、次世代の音楽家や音楽ファンの皆様に寄り添います。


プロフィール

柳井 真那(Mana Yanai)
東京都出身・在住
清泉インターナショナルスクール4年生
(Seisen International School Grade4)

4歳より勅使河原真実氏のもとでヴァイオリンを、石岡久乃氏のもとでピアノとソルフェージュを学び始める。
8歳からは、三瀬和朗氏に作曲とソルフェージュを師事。

趣味・特技

テニス、工作、お絵描き、作曲、即興演奏

受賞歴・演奏活動歴(抜粋)

・第9回 日本ヴァイオリンコンクール〈ソロ部門〉第1位(7歳)
・第10回 日本ヴァイオリンコンクール〈ソロ部門〉第1位(8歳)
・第14回 ハマのJACK「金の卵」ソリストオーディション〈Xカテゴリー〉ファイナリスト/NHK交響楽団メンバーによる弦楽五重奏と共演
・第10回 桐朋学園 全国ジュニア音楽コンクール〈小学校低学年の部〉第1位
・第20回 チェコ国際音楽コンクール:全カテゴリー最優秀演奏者賞/チェコ楽曲賞/パンペリシュカの部 第1位
・第7回 JASTAフレッシュ音楽コンクール:合格・審査員特別賞
・第7回 日本奏楽コンクール:準グランプリ、弦楽器部門〈小学校中学年の部〉第1位、Etoile賞

主な出演

・2024年12月31日:みなとみらいホール「石田組 年末感謝祭」— 石田組ジュニアとして出演
・2025年5月トッパンホール「第7回 JASTAフレッシュコンサート」— ソリストとしてJASTAストリングオーケストラと共演

日本奏楽コンクールを終えて

柳井真那さま演奏

ーーコンクール、お疲れさまでした!終えた今のお気持ちをお聞かせください。

柳井
ありがとうございます!今の気持ちは――「楽しかったのに、あっという間に終わっちゃった」「いい演奏ができたな」「皆さんにも楽しんでいただけていたら嬉しいな」という気持ちです。

表彰式で1位とEtoile賞で名前を呼ばれたときは、とっても嬉しかったです。「Etoile賞ってなんだろう?」と思ったけれど、「期待の星」に贈られる賞だと聞いて、自分に自信を持てました。

それから後で、全部の部門から一人だけ準グランプリに選ばれたという連絡をいただいたときは、嬉しさとびっくりが同時にやって来ました!
夏にいろいろ考えて練習してきたことは間違っていなかったんだ、と大きな自信になりました。この夏、私にアドバイスをしてくださった先生方に、心から感謝しています。

ーーなぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

柳井
私はインターナショナルスクールに通っていて夏休みがとっても長いのですが、ちょうどその長い夏休みの終わりにこのコンクールがありました。なので、このコンクールを受けることで今年の夏に練習した成果をみんなに見てもらいたいと思いました。そして、次に何に気をつければ良いのか、審査員の先生方の講評も知りたかったからです。

日本奏楽コンクールは、日本の先生方と海外の先生方が審査してくださるので、いろいろなアドバイスをいただけます。予選審査の講評も、とても勉強になりました。

ーー自由曲は何を演奏されましたか?選曲理由も教えてください。

柳井
ヴィオッティのヴァイオリン・コンチェルト第22番 第1楽章を演奏しました。ちょうどコンクールに挑戦しようと思ったころに練習していたこともありましたし、“とてもおしゃれ”なメロディーが好きなので、自由曲に選びました。

この曲にはいろいろなテクニックがつまっていて、いろんなことを一度にたくさん練習できるんです。例えば、連続するトリルのところは、トリルを1個にしたり2個に増やして練習したり、毎日いろいろなやり方でトライできます。重音で歌う練習もありますし、下の音にアクセントをつけながら速く移弦して右手と左手を合わせる練習もあります。

最後はピアノと息を合わせるところもあり、1人で練習している時はピアノの旋律を頭の中で歌って物語を一緒に盛り上げたり、練習していて飽きないところが気に入ってます。この曲を選んでとても良かったと思っています。

ーーコンクール準備期間にこころがけたことは何かありますか?

柳井真那さま

柳井
ヴィオッティはイタリアの作曲家なのですが、実は今年の夏、たまたまイタリアへ旅行に行ったんです。ローマやバチカンで、素敵な建物や彫刻、絵をたくさん見ました。

イタリアの人たちはみんなおしゃれで、街を歩いている人たちのファッションを眺めているだけでも気分がワクワク。びっくりするくらいおいしいパスタやピザ、ニョッキ、ジェラートも毎日楽しみました。
旅の終わりには、「イタリアってエレガントで素敵な国なんだな」と実感して、そこからはヴィオッティの曲も“エレガント”に弾くことをいつも心がけるように。自分の音がイメージどおりか耳で確かめながら、どうしたらイタリアのエレガントな曲に聴こえるか、1人でいろんな弾き方を実験して“小さな研究”をしました。

「あっ素敵!」っていうインプレッションを与えたかったので、短いカデンツァを2つ作って、曲のシーンが変わるところに入れました。シーンとシーンの間を自然につなぐ“橋渡し”になるよう工夫しています。

ーー練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?

柳井
ベーシックな事ですが、音程をいちばん良い音程にすること…いちばん大切にしたのは音程です。ゆっくり練習するときに音程をしっかり合わせておくと、右手(弓を持つ手)の指や手首の動きにも気をつけられて、速く弾くときに手が覚えていてやりやすくなります。
音程のほかには、ヴィブラートが素敵にかかっているか、これが本当に自分の出したいイメージどおりの音になっているかなど、一音一音を大事によく考えました。

これまでもしっかり練習していたつもりですが、この夏の旅行へ出かける前にある先生から「もっともっと自分に厳しくなりなさい。1回できてOKにしないで、何度も何度も完璧に」と言われてからは、小さなこともパーフェクトにできるまで続けるようにしています。

お絵描きや工作が大好きで、練習の休憩中は曲のシーンを描いたりストーリーを作ったりして楽しんでいます。練習していくうちに新しい発見が増えてイメージもどんどん変わっていくので、最後はそのイメージを本番の演奏にぎゅっと込める、っていう感じです!

ーー本番を迎えた当日のお気持ちをお聞かせください。

柳井
本番は朝から緊張していて、舞台袖でもまだ緊張していましたが、舞台に出たら「広いな〜」と思って、ふっと緊張がなくなりました。
そのまま自分のお話の世界に私が飛びこんで、遊んでいるみたいに楽しく弾けて…あっという間に終わった気がします。弾き終わってからは、「楽しかったけど、演奏時間が短く感じたな。楽しみすぎたからかな」と思いました。
でも、演奏が成功して嬉しかった!前は本番で緊張して固まってしまうこともあったけれど、最近は自分の世界に入れるようになりました。

ーー日本奏楽コンクールへ挑戦する方へのメッセージをお願いします。

柳井真那さま:賞状と

柳井
練習のときは一生懸命。でも本番になったら、いちばん大事なのは「楽しんで弾く」ことだと思います。そうすれば自信をもって、いい演奏ができると思います。「自分はできる!」とポジティブに信じる気持ちも、大事です。

ーー今後の夢や目標などをお聞かせください。

柳井
夢はヴァイオリニストになること。そして、たくさん舞台に立つチャンスが欲しいです。
目標は、もっといろんなことを勉強して、新しいテクニックにも挑戦して、できることを増やして上手になっていくこと。作曲も好きなので、自分で作った曲を自分で演奏したいし、時間があればもっともっとたくさん作りたいです。

それから、好きな曲・憧れの曲がたくさんあって、いつか全部弾いてみたい。ヴァイオリンを始めるきっかけになったのは、クライスラー《愛の喜び》を聴いて「弾けるようになりたい!」と思ったこと。実はまだ弾いていないので、その日が来るのを楽しみにしています。

柳井真那さま:客席にて

受賞の喜びを「びっくり」と「嬉しさ」で素直にお話してくださる言葉の奥に、日々の積み重ねと先生方への感謝がしっかり伝わってきました。ヴィオッティ第22番を“おしゃれ”に感じ、イタリア旅行の体験から“エレガント”という軸で音色づくりを研究する姿勢がとても素敵です。

基礎では音程を最優先に、ゆっくり練習で右手・左手を整える理知的な方法。そして物語をつくり、絵まで描いて表現を育てる想像力。この二つの車輪があるからこそ、本番での緊張も「広いな〜」と舞台を受け止め、自分の世界へ軽やかに飛び込めたのだと感じました。
物語を胸に丁寧な基礎と向き合う姿は、今の強みをやさしく大きくしてくれそうです。

クライスラー《愛の喜び》に出会う日、自作曲の初演の日、どちらも楽しみにしています。心から、音楽の旅を応援しています。お忙しいところありがとうございました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

柳井真那information

●2026年1月12日(月)
若い芽のコンサート(豊洲シビックホール)
●2026年8月(日付未定)
第7回日本奏楽コンクール準グランプリ受賞者演奏会を予定(五反田文化センター)

第7回日本奏楽コンクールの概要については下記をご覧ください。

第7回日本奏楽コンクールの結果については下記をご覧ください。