西日本屈指の吹奏楽激戦区、中国支部。岡山・広島・山口・鳥取・島根の高校バンドは、全国大会常連の名門から勢いある新鋭まで個性が光り、聴く人の心をつかんで離しません。
本記事では、今年10月の全日本吹奏楽コンクールを前に、過去5年間で全国・中国大会を席巻してきた強豪10校を厳選紹介。各校の取り組みや演奏の特徴、マーチングやアンサンブルでの横顔まで、次の演奏をより深く楽しむためのヒントを凝縮しました。
読めばあなたの推しバンドの「次の一手」がきっと見えてくるはず!各校の名演動画とともにお楽しみください。
岡山学芸館高等学校(岡山県)
最近5年の全国大会出場は、2021年・2022年・2023年・2024年。(2020年はコロナ禍につき大会中止。)全国大会常連のベテラン校で、2024年には10大会連続通算21回目の全国出場という快挙を成し遂げました。また、7大会連続で金賞を受賞している驚くべき学校です。
第72回(2024年)全国大会では、課題曲「勇気の旗を掲げて」と自由曲「オセロ」(リード)の名演が高く評価されました。
2024年に創部50周年を迎えた同校。豊富な全国大会経験に裏打ちされた安定感ある演奏が持ち味です。各セクションの音色バランスと表現力の高さに定評があります。精鋭揃いのメンバーを擁し、難易度の高い曲にも果敢に挑戦する挑戦心も光ります。
明誠学院高等学校(岡山県)


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最近5年の全国大会出場は、2021年・2022年・2023年・2024年。いずれも銀賞を受賞しています。8大会連続・通算14回の全国大会出場記録を更新中です。
2024年の全日本吹奏楽コンクールでは、ハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」よりを演奏し、緻密かつ情熱的な演奏で会場を魅了しました。また、2023年同大会では、ドビュッシーの交響詩《海》より「風と海との対話」を演奏しています。豊かな表現力と躍動感あるサウンドが同校の魅力。顧問の稲生健先生が指揮を執り、部員の主体性を引き出す指導をおこなっています。コンクールのみならず、マーチングやアンサンブルコンテストでも成果をあげるなど、幅広い分野で実力を発揮するオールラウンドな強豪校です。
出雲北陵高等学校(島根県)


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最近5年の全国大会出場は、2021年・2023年・2024年。近年はほぼ毎年全国大会に出場しており、数々の名演を残してきている注目の強豪校です。
1997年に初めて全国大会への切符を手にした同校。通算16回全国大会へ出場し、うち2回は金賞を獲得しています。2023年には「復興」(保科洋)、2024年には「エルフゲンの叫び」(ジェフリー・ローレンス)を自由曲に選び、両年とも銅賞を受賞しました。
コンクールとマーチングの二刀流で知られ、近年、全日本マーチングコンテストにも連続出場しています。部員数67名の大規模バンド(2025年時点)で、壮大なスケール感と精密さを両立した演奏が持ち味。大編成を活かした迫力あるサウンドと練り上げられたアンサンブルで観客を魅了します。
就実高等学校(岡山県)


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最近5年の全国大会出場は、2022年。久々の全国の晴れ舞台で、銅賞を受賞しました。中国大会では2021年から4年連続で金賞を受賞しています。
2022年の全国大会では、歌劇《イーゴリ公》より「ポーロヴェツ人の踊り」(ボロディン)を自由曲に選曲。緻密なアンサンブルと優れた表現力で注目されました。音楽表現の繊細さと美しいハーモニーが魅力の学校です。全パートのバランスが良く、特に木管セクションの透明感ある音色に定評があります。今後の活躍に期待がかかります。
おかやま山陽高等学校(岡山県)


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最近5年は全国大会に出場していません。しかしながら、中国大会にて2021年・2023年・2024年に金賞を受賞しており、全国大会目前の成績を収めている注目校です。
2024年の中国大会では自由曲に「トリトン・エムファシス」(長生淳)を選曲。惜しくも代表は逃したものの、選び、表現力豊かな演奏で聴衆の心を掴みました。明るく伸びやかなサウンドと確かな基礎力で魅せるバンドです。普通科音楽コースのメンバーも多く在籍しており、各パートのテクニックが高いのが強み。ダイナミックレンジの広い演奏で聴衆の心を掴みます。
江の川学園・石見智翠館高等学校(島根県)


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最近5年は全国大会に出場していないものの、中国大会では上位をキープしており、常に全国大会候補に名が挙がる強豪校です。2021年・2022年・2024年の中国大会では金賞を、2023年には銀賞を受賞しています。
2024年の中国大会では、「ハンガリー民謡《くじゃく》による変奏曲」(コダーイ)を演奏。2022年の中国大会では、スペイン狂詩曲(ラヴェル)を演奏。いずれの年も高い完成度で金賞を受賞しました。直近の全国大会出場は2010年で、銅賞を受賞しています。「智翠ブラス」の愛称で親しまれる伝統校。「最後まで本気でやり抜く」をスローガンに活動しています。豊かな表現力と統一感のあるサウンドメイクが特徴で、大編成ならではの分厚いハーモニーと迫力が持ち味。全国大会への復帰が期待されます。
比治山女子高等学校(広島県)


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最近5年は全国大会に出場していないものの、2021年・2023年・2024年の中国大会で金賞を受賞しています。近年、中国大会でたびたび上位入賞を果たしている同校は、中国エリアの中でも一目置かれる存在です。
2023年の中国大会では「ブリュッセル・レクイエム」(アッペルモント)を自由曲に選曲。2024年の同大会では「スペイン奇想曲」より(リムスキー=コルサコフ)を選曲。完成度の高い演奏で聴衆から大きな拍手を受けました。同校の強化指定クラブに認定されている吹奏楽部。きめ細やかな表現力と、伸びやかなサウンドが魅力のバンドです。特に木管楽器の美しい響きとアンサンブル力に定評があります。
修道高等学校(広島県)


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最近5年は全国大会に出場していませんが、中国大会での上位常連校です。2022年・2023年・2024年と中国大会で連続金賞を獲得しています。
2024年の中国大会では、楽劇《サロメ》より「7つのヴェールの踊り」(シュトラウス)をエキゾチックに演奏し、会場を魅了しました。毎年多くのファンが訪れる地元広島開催の定期演奏会でも、難曲に挑戦する姿勢が高く評価されています。
力強さと緻密さを兼ね備えたサウンドに定評がある同校。100年以上の歴史を持つ名門男子校で、全国屈指の進学校でもあります。OBにはプロ音楽家も輩出しており、その指導体制と結束力が強みとなっています。
鳥取県立米子西高等学校(鳥取県)
最近5年は全国大会に出場していませんが、近年力を伸ばしている学校です。2022年には同校初の中国大会金賞を獲得。地元から大きな祝福が寄せられ、翌年以降の活躍に関心が集まりました。
2022年の中国大会では「ロスト・ヴェガス より」(ドアティ)を演奏。鳥取県勢に金賞がもたらされたのは11年ぶりのことでした。一人ひとりの基礎力向上に力を入れた指導を通して、近年着実にレベルアップしています。2024年のアンサンブルコンテスト中国大会では、木管8重奏と打楽器3重奏でW金賞受賞。これからの成長が期待されるバンドです。
山口県立防府西高等学校(山口県)
最近5年は全国大会に出場していませんが、2021年に中国大会で金賞を受賞しています。以降も安定して中国大会に駒を進め、2024年には銀賞を受賞するなど健闘しています。
2021年の中国大会では「過ぎ去りし年の亡霊」(デイヴィッド)を自由曲として選曲。力強さと緻密さが光る演奏で、山口県勢として唯一の金賞を勝ち取りました。
明るく抜けの良いサウンド作りが同校の強み。特に打楽器パートの安定感が演奏を下支えしています。全国大会常連校ひしめく中国支部において、公立校ながら健闘を続ける姿に注目が集まります。
中国支部エリアでは岡山の高校を筆頭に、他県の強豪校も加わって、毎年熱戦が繰り広げられています。各校が培ったノウハウは、部員たちの手で次世代へと受け継がれていく――その連鎖が中国支部の底力と言えるでしょう。
今年の全日本吹奏楽コンクールでは、一体どんな名演が生まれるのでしょうか?個性豊かな10校がコンクールの舞台で共鳴する瞬間を、楽しみに待ちましょう。