吹奏楽ファンにとって胸躍る季節がやってきました。今年は一体どの高校が東京代表を勝ち取り、全国大会出場を果たすのでしょうか。熱戦の行方を占う前に、まずはこちらの記事で東京支部の強豪10校を総復習しませんか？
本記事では、全国大会常連の高輪台・菅生、昨年6年ぶりの全国出場を果たした八王子学園八王子、そのほか伝説的な記録を残す強豪校を厳選して紹介します。
特に部の特徴や強み、選曲傾向は必見！各校の名演動画とあわせて、ぜひ最後までお楽しみください。
東海大学付属高輪台高等学校
最近5年の全国大会出場は、2021年（銀賞）・2022年（金賞）・2023年（金賞）・2024年（金賞）。コロナ禍で中止となった2020年を挟み、近年10大会以上連続して全国大会に出場している常連校です。
吹奏楽コンクールのみならずマーチングコンテストやアンサンブルコンテストにも積極的に参加。2022年にはコンクール・マーチング・アンサンブルの全国大会に東京代表としてすべて出場する偉業も達成しました。
部員数150人前後の大規模バンド。畠田貴生先生が長年指揮を務めており、コンクールでは卓越したアンサンブルと表現力で毎年高い評価を得ています。自由曲には福島弘和作曲の「シンフォニエッタ第6番『息吹の花』」や「アウレア・レゲンダ」など高度な現代作品を選曲しています。
東海大学菅生高等学校
最近5年の全国大会出場は、2021年・2022年・2023年。2024年は惜しくも全国出場を逃したものの、2018年から2023年にかけて（コロナ禍で中止となった2020年を除く）5大会連続で全国大会に出場し、いずれも金賞を受賞しています。
加島貞夫先生の指揮のもと、表現力豊かなサウンドと圧倒的な音圧で聴衆を魅了し、5大会連続での全国金賞を成し遂げました。部員数約130名と大所帯。野球部の応援に全員で参加するなど、学校行事にも積極的です。
シンフォニックでスケールの大きい作品を好み、自由曲では近年フィリップ・スパーク作曲「ドラゴンの年（2017年版）」やジョン・マッキー作曲「吹奏楽のための交響曲《ワインダーク・シー》より I. II. III.」などの名作に果敢に挑戦。ダイナミックさと歌心をあわせ持つ演奏で審査員から高く評価されています。
八王子学園八王子高等学校
最近5年の全国大会出場は、2024年。6年ぶり7回目の出場でピーター・グレアム作曲の「吹奏楽のための交響曲『モンタージュ』」を演奏し、念願の全国金賞を果たしました。
「八学（はちがく）」の愛称で知られ、50年以上の伝統を持つ私立強豪校。髙梨晃先生の指導のもと「歌って・踊れて・演奏できる」バンドをモットーに活動しており、これまで日本テレビ「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」など多数のメディアに取り上げられたことがあります。
コンクールでは、難易度の高い現代作品や邦人作曲家の物語性豊かな作品を自由曲として選ぶ傾向にあります。一方で、定期演奏会やイベントではポップスやダンスを取り入れたステージも人気です。
駒澤大学高等学校
最近5年は全国大会に出場していませんが、全国大会通算出場11回を誇り、2000年代には全国金賞の常連校でした。
2000年代には当時の顧問のもとで、「ハンガリー民謡『くじゃく』による変奏曲」や「宇宙の音楽」などを自由曲として選曲。クラシックの大作から現代曲まで幅広く演奏し、サウンドバランスとアンサンブルの素晴らしさに定評がありました。
現在はクラシック以外のジャンルにも挑戦しており、2021年には「シンフォニックジャズ＆ポップスコンテスト全国大会」で金賞を受賞しています。2022年から田村拓巳先生が顧問となりましたが、新体制でのさらなる飛躍が期待されます。
東京都立杉並高等学校
最近5年は全国大会に出場していませんが、2004年に全国大会に初出場し銅賞を受賞した記録があります。近年は支部大会止まりの年が多いものの、東京都吹奏楽コンクールでは安定して上位の成績を収めており、基礎力の高さと明るいサウンドは健在です。
OBが結成した一般バンド（東京清和吹奏楽団）も存在し、伝統のサウンドが次世代に受け継がれています。
2017年度（平成29年）からは新体制「SWO（Suginami Wind Orchestra）」として始動。2018年には東京都教育委員会より「文化部推進校（吹奏楽）」の指定も受けました。全国大会に返り咲く日が待たれます。
東京都立片倉高等学校
最近5年は全国大会に出場していません。しかしながら全国大会に10回以上出場した実績があり、2000年代前半～2010年代前半にかけては全国金賞常連だった名門校です。
当時の馬場正英先生は、生徒の音楽への情熱を引き出す名指導者として知られます。選曲傾向はバーンズ、スパーク、グレイアムなどシンフォニックで技巧的な大作が中心で、全国大会でも常に高度なプログラムに挑戦してきました。
その伝統は現在も脈々と受け継がれ、近年は全国大会出場こそありませんが、東京都大会上位の常連として安定した実力を維持しています。
関東第一高等学校
最近5年は全国大会に出場していませんが、過去には全国大会に複数回出場した実績を持ちます。特に塩谷晋平先生が指揮をしていた1990年代には全国トップクラスの実力を誇り、当時の演奏を収めたCD『吹奏楽の伝説 レジェンダリー』にも同校の演奏が収録されています。
現在は顧問・小川順先生のもとで精力的に活動を続けており、部員数約60名で熱心に練習に取り組んでいます。近年はクラシックの名曲に挑戦しており、重厚な響きが評価されています。
伝統のサウンドに現代的な感性も取り入れながら、コンクールのみならず文化祭や定期演奏会などでも積極的に演奏を披露しています。
日本大学第二高等学校
最近5年は全国大会に出場していません。しかしながら、過去には全国出場を果たし、上位入賞した記録も残っています。当時から受け継がれる伝統として、歌心あふれる柔らかな音色や豊かな表現力が挙げられます。
創部80年以上の歴史を持つ強豪校。現在は中学吹奏楽部との一貫指導体制で部員を育成しており、中高合同バンドでの演奏動画発信など新しい試みにも積極的です。部の公式チャンネルでは、ベニー・グッドマンの名曲「シング・シング・シング」やアニメ『ルパン三世』のテーマ曲などを披露しており、ジャズ・ポップスの演奏にも定評があります。
指導陣には音楽大学出身のスタッフやOBが携わり、基礎合奏から丁寧に鍛えるスタイルです。中高合わせた大編成で迫力とまとまりのあるサウンドを作り上げています。
玉川学園高等部
最近5年は全国大会に出場していないものの、1970年代から80年代にかけて全国大会の常連校でした。5回連続で金賞を受賞したこともあり、輝かしい実績を持つ強豪校です。近年は東日本学校吹奏楽大会に出場しており、2021年度にはRoger Cichy作曲「クァルテッツ」を演奏して金賞を受賞しました。
一貫教育の利点を活かし早期から質の高い音楽教育をおこなっている同校。創部当初より音楽カリキュラムが充実しており、美しいハーモニーと豊かな音楽性が受け継がれています。
選曲は吹奏楽オリジナル作品からクラシック名曲、ポップスステージまでバランスよく取り入れ、「チーム玉川」の結束で表現力豊かな演奏を目指しています。
東京都立永山高等学校
最近5年は全国大会に出場していませんが、全国大会にはこれまで複数回出場しており、金賞受賞歴もあります。美しく豊かな響きとダイナミックな表現との両立が高く評価された同校は、特に1990年代に全国大会常連として名を馳せ、当時は都立杉並・片倉と並ぶ東京公立の雄として注目されました。
現在も真面目で丁寧な音楽づくりを伝統として受け継いでおり、東京都吹奏楽コンクールや学校行事、地域イベントなどで演奏を披露。近年は部員数が減少傾向にあるが、協力し合い質の高い音楽を目指して活動しています。
「東京サウンド」の最前線を切り拓いてきた、個性豊かな10の強豪校を紹介しました。それぞれの歴史や強みを活かして戦う、フレッシュなバンドの魅力を感じていただけたと思います。
今年のコンクールでは、一体どの学校が全国大会への切符を手に入れるのでしょうか？各校の活躍が、今年も待ち遠しいですね。
