【中国】吹奏楽コンクール強豪中学校10選!【2025最新】

【中国】吹奏楽コンクール強豪中学校10選!【2025最新】

岡山、広島、山口、島根、鳥取の5県で構成される中国支部エリア。特に島根県はその活躍に目覚ましいものがありますが、続く4県の中学校も虎視眈々と全国の檜舞台を狙っています。

この記事では、ここ5年のうちに全日本吹奏楽コンクール全国大会への出場実績を持つ中学校や近年活躍が目立つ強豪校をあわせて10校、演奏動画を添えて紹介します。

今秋の全日本吹奏楽コンクール観戦がさらにおもしろくなるヒントが満載!ぜひ最後までご覧ください。

目次

山口市立小郡中学校

鳳が如く~祭り~/樽屋雅徳

ここ5年の全国大会出場は、2021年、2022年です。2021年の全国大会では堂々たる演奏で銀賞を獲得し、翌年も連続出場を果たして銅賞を受賞しています。複数年にわたって全国の舞台に立った中学校は山口県では少ないため、大きな注目を集めました。

2021年に披露した自由曲はバッハ作曲「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調」より有名な「シャコンヌ」(根本直人編曲)。2022年には一転して邦人作品「信長~ルネサンスの光芒」(鈴木英史作曲)。選曲の幅広さと表現力の高さが小郡中吹奏楽部の特徴です。

部員数は変動があるものの、大体30~50名規模。木管から金管・打楽器までバランス良く配置されています。日々の合奏では「一音一心」(一つの音に心を込める)というスローガンを掲げて練習しており、濁りのないクリアな音が持ち味です。

防府市立華陽中学校

生命のアマナ~ウインド・アンサンブルのために~/片岡寛晶

最近5年の全国大会出場は、2021年、2024年。特に2024年の出場では少人数ながらも見事銀賞を受賞し、大きな注目を集めました。わずか数年で全国の舞台に2度立った、少人数バンドの星とも言える存在です。

各自の音量バランスや音程感を磨き抜き、ステージでは人数を感じさせない豊かな響きを作り上げているのが華陽中の特徴。合奏を細かく止めては生徒同士で意見を出し合って、独自のサウンドをつくり上げています。2024年の自由曲「生命のアマナ」(片岡寛晶作曲)では、その練り上げたアンサンブルから生まれる繊細な表現と力強いクライマックスの対比が見事で、聴衆の心に深い感動を与えました。

選曲にも工夫が光ります。2024年には前述の「生命のアマナ」、2021年には真島俊夫作曲の人気作「三つのジャポニスム」を演奏しており、少人数でも各パートがそれぞれ活躍できる曲を選んでいます。

出雲市立第一中学校

斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(2022年版)/樽屋雅徳

直近5年の全国大会出場は、2021年銅賞、2022年銅賞、2023年銅賞、2024年銀賞。中国支部大会で安定して上位の成績を収め、代表として全国の舞台に立ち続けています。2015年から数えて10大会連続・通算51回という驚異的な出場記録を持ち、全国大会での通算金賞受賞回数は22回。その輝かしい実績は他校の追随を許しません。

出雲一中吹奏楽部の強みは、何と言っても高度な音楽表現力と圧倒的な合奏力です。一瞬の隙もない完成度と、曲のドラマを描き切る表現力が際立ちます。2024年の全国大会で演奏した自由曲「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」(樽屋雅徳作曲)では、神話の世界を描いた壮大な音楽を色彩豊かに表現。また、技術面でも木管の流麗なパッセージ、金管の力強いハーモニー、打楽器の躍動感などが高水準で調和した演奏で客席を魅せました。

「出雲音楽協会」の理事も務め、伝説的指導者としても知られる片寄哲夫先生の時代から受け継がれる「歌心」のある演奏に、今年も注目が集まります。

出雲市立大社中学校

マードックからの最後の手紙(2021年版)/樽屋雅徳

最近5年の全国大会出場は、2022年、2023年、2024年。32年ぶりとなる全国大会出場(銅賞)を果たした2022以降、勢いに乗って2023年、2024年と3年連続で全国大会に出場する快挙を遂げました。2023年には銀賞、2024年には銅賞を受賞し、長年全国大会の常連であった出雲一中に並んで島根県から2校同時出場を実現させるなど、中国地方全体を盛り上げる存在となっています。

大社中吹奏楽部の特徴は、出雲一中に勝るとも劣らない豊かな表現力と研究熱心な姿勢。2022年の全国出場時にはプッチーニ作曲の歌劇「マノン・レスコー」(プッチーニ (宍倉晃))を自由曲に選び、劇的で情感あふれる演奏で会場を沸かせました。翌2023年はフィリップ・スパーク作曲の名曲「ドラゴンの年(2017年版)」に挑戦。2024年には樽屋雅徳作曲の「マードックからの最後の手紙(2021年版)」を自由曲に選び、物語性の強いこの曲で繊細な歌心と迫力あるクライマックスを両立させた名演を披露しました。

顧問の先生によれば、大社中では部員同士の自主練習と意見交換を積極的に行っており、一人ひとりが音楽づくりに参加する風土が根付いているのだそう。出雲一中の存在も刺激となり、互いに切磋琢磨する出雲市全体の吹奏楽文化が大社中の成長を支えています。

倉敷市立味野中学校

最近5年は全国大会に出場していないものの、岡山県から久々に中国大会へ駒を進めた新鋭校です。味野中学校は2024年の県大会で金賞を受賞し代表に選出され、中国大会では銀賞を受賞しています。

2024年の自由曲には他校があまり選ばないユニークな作品「天満月の夜に浮かぶオイサの恋」を取り上げ、中国大会で銀賞を獲得。演奏後には「私たちだけの表現が披露できた」とコメントしています。

近年は30人前後の規模で活動しており人数はそれほど多くありませんが、各自が感じた物語の情景を音に反映させる豊かな感性が強み。クラリネットやサクソフォンのフレージングの美しさは味野中の特徴の一つと言えるでしょう。地域イベントでの演奏活動も積極的に行い、そこで培った表現力をコンクールの舞台で存分に発揮しています。

岡山市立京山中学校

ウインド・オーケストラのためのバラッド/高 昌帥

最近5年は全国大会に出場していないものの、2022年、2023年、2024年と中国大会に駒を進めています。その安定した実力から強豪校の一つに挙げられるでしょう。

2024年の県大会では自由曲「ウインド・オーケストラのためのバラッド」で見事代表に選出されました。中国大会でもその迫力のある響きで聴衆を魅了し、金賞を受賞。コンクール自由曲では、前述の「ウインド・オーケストラのためのバラッド」のような正統派の吹奏楽オリジナル作品を選曲する傾向にあります。

近年は合同演奏会や他校との交流を通して音楽性を高めています。中国地方の強豪校として見逃せない存在と言えます。

広島市立安佐中学校

最近の5年では全国大会に出場していないものの、2010年代には複数回全国大会に中国エリア代表として参加しています。特に2013年の全日本吹奏楽コンクールでは銀賞を獲得。その後も中国大会等で活躍を続け、広島県勢の一角を担ってきました。

安佐中吹奏楽部の強みは緻密さとパワーを両立したサウンド作りにあります。コンクール自由曲ではクラシックの大作や難易度の高いオリジナル作品に挑戦し、各楽器セクションのレベルが非常に高いことでも有名です。

部員数は毎年50名前後にのぼります。練習方針としては基礎合奏に重きを置いており、とりわけ音程やバランスの調整には力を注いでいます。全国大会への復帰が待ち望まれます。

広島市立東原中学校

秘儀IV〈行進〉/西村 朗(福本信太郎)

最近5年の全国大会出場はありませんが、毎年のように中国大会へ選抜されている広島の強豪校です。2018年には初めて全日本吹奏楽コンクール全国大会に出場し、銅賞を受賞しました。2018年の自由曲はバルトーク作曲の「バレエ音楽《中国の不思議な役人》」。重厚でドラマティックな演奏が聴衆に強い印象を残しました。

東原中吹奏楽部の特徴は、少人数でも緻密なアンサンブルを作り上げる点です。日頃から基礎練習で音程感や音の立ち上がりを徹底的に鍛える指導が行われており、各パートが少人数でも確実に響きを支える技量を備えています。

近年は全国大会から足が遠ざかっているものの、その安定した実力からさらなる飛躍が期待される学校です。

米子市立福米中学校

最近5年の全国大会出場はありませんが、毎年のように中国大会へ鳥取県代表として駒を進めており、県内ではトップクラスの強豪校として知られます。特に2023年の中国大会で演奏した自由曲、歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」/サン=サーンス(真島俊夫)では、細部まで行き届いた表現力で観客を魅せました。

鳥取県内の中学校吹奏楽部は小編成が多い傾向にありますが、福米中も例に漏れず、部員数は大体20~30名規模。しかしながら各パートの音量バランスを巧みに調整し、豊かな合奏を実現してきました。

これまで全国大会への切符をなかなか手に入れることができなかった鳥取県勢ですが、福米中をはじめ県内の有力校は近年着実に力を付けてきています。全国大会出場へ、期待が高まります。

米子市立後藤ヶ丘中学校

最近5年の全国大会出場はありませんが、鳥取県大会での金賞・代表の常連校として知られ、福米中と切磋琢磨しながら県内のレベルを引き上げてきました。なかでも後藤ヶ丘中は、アンサンブルの精度に定評があります。各パートの音程とハーモニーの安定感が素晴らしく、そこがこの学校の強みと言えるでしょう。

選曲面では、コンクール自由曲にオーソドックスな吹奏楽オリジナル作品を選ぶ傾向が強く、作品の様式美をしっかり表現する正統派のアプローチが光ります。全体のサウンドは柔らかく、特に中低音の充実した鳴りは少人数は思えない豊かさです。これは日頃から基礎合奏でロングトーンや和音練習に時間をかけ、響きを揃える訓練を重ねている成果と言えます。

毎年定期演奏会を開催しており、他校やOB・OG、地元高校の吹奏楽部をゲストに招くなど活発な活動をおこなっています。今後の活躍が期待されるバンドのうちの一つです。

中国支部エリアの中学校は、お互いに刺激し合いながらレベルを向上させてきました。岡山の表現豊かな音楽づくり、広島の伝統校に培われた緻密なサウンド、山口の少人数でも輝く情熱、島根の全国トップクラスの実力、そして鳥取の粘り強い挑戦――それぞれの特色が日本の吹奏楽シーンを彩り、聴く人々に感動を与えています。

2025年の全国大会では、一体どんな名演が生まれるのでしょうか?各校のさらなる活躍にぜひご注目ください。

目次