インディアナポリス国際ヴァイオリン開幕 渡辺紗蘭ら日本人4名

インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール開幕 渡辺紗蘭ら日本人4名
Image source: International Violin Competition of Indianapolis

第12回インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール(International Violin Competition of Indianapolis)が2026年9月17日(木)、米国インディアナ州インディアナポリスで開幕する。出場する38名のうち日本国籍は青山暖・中野りな・渡辺紗蘭の3名で、公式が国籍を「米国/日本」と併記する本田莉愛を加えると日本勢は4名になる。

1982年創設、4年に1度開かれる国際音楽コンクール世界連盟(WFIMC)加盟のコンクールで、今回が第12回。会期は9月17日(木)から10月4日(日)まで。

構成は予選・準決勝・クラシカル・ファイナル・本選の4ラウンド。予選の38名から準決勝に16名が進み、そこから入賞者となる6名に絞られる。6名は、古典派の協奏曲を弾くクラシカル・ファイナルと、ロマン派の協奏曲を弾く本選の両方に出演する。出場者は16歳から27歳で、アジア・北米・ヨーロッパの3大陸から集まる。6月の発表時点では40名だったが、9月時点の公式一覧は38名。大会の基本情報と出場者発表時の顔ぶれは6月16日の記事にまとめている。

日本勢は4名 青山暖が6月の改訂で加わる

日本国籍の出場者は青山暖(Non Aoyama)、中野りな(Lina Nakano)、渡辺紗蘭(Sara Watanabe)の3名。公式が国籍を「米国/日本」と併記する本田莉愛(Ria Honda)を加えると4名になる。6月12日発表の名簿では日本国籍が2名だったが、6月23日の改訂で、辞退した出場者に代わり青山暖が加わった。

なお、以下の曲目のうち演奏が確定しているのは予選のみ。準決勝以降は、進出した場合に弾く予定の曲目。

青山暖(Non Aoyama)

2004年岡山県生まれの21歳。4歳でヴァイオリンを始め、現在は東京藝術大学音楽学部4年に宗次德二特待奨学生として在籍する。野口千代光、渡辺玲子、田野倉雅秋に師事。第91回日本音楽コンクール ヴァイオリン部門第2位、クロスターシェーンタール国際コンクール(ドイツ)第2位・ヴィルトーゾ賞、2018年のメニューイン国際コンクールではセミファイナリスト。最新の活動情報は本人のInstagram(@non_violin_)で発信されている。

予選はイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番、エルンストの《魔王》による大奇想曲など。本選まで進めばシベリウスの協奏曲を弾く。下の映像はメニューイン国際コンクールで演奏したワックスマン《カルメン幻想曲》。

Non Aoyama performs Waxman's Carmen Fantasie

中野りな(Lina Nakano)

2004年東京都生まれの21歳。3歳でヴァイオリンを始め、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースを経て、2025年8月からジュリアード音楽院にKovner Fellowshipの全額特待奨学生として在籍し、川﨑雅夫に師事する。2021年の第90回日本音楽コンクール第1位に続き、2022年の第8回仙台国際音楽コンクールを史上最年少の17歳で制して聴衆賞も獲得。NHK交響楽団、読売日本交響楽団などとの共演を重ねる。使用楽器は一般財団法人ITOHから貸与された1702年製ストラディヴァリウス「ライアル」。最新の活動情報は本人のInstagram(@linanakanoviolin)で発信されている。

予選はイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番とモーツァルトのソナタ K.305など、本選まで進めばバルトークの協奏曲第2番。師の川﨑雅夫は、1986年に本コンクールで優勝した竹澤恭子のジュリアード時代の師でもある。下の映像は2024年2月の公演で弾いたクライスラー《愛の喜び》。

フレッシュ名曲コンサート・キャンペーン 中野りな〈ヴァイオリン〉♪クライスラー:愛の喜び(2024.02.11)

渡辺紗蘭(Sara Watanabe)

2005年兵庫県生まれの21歳。3歳でヴァイオリンを始め、東京音楽大学器楽専攻4年に特別特待奨学生として在籍する。小栗まち絵、原田幸一郎に師事し、2026年からは竹澤恭子にも師事。2022年の第91回日本音楽コンクール ヴァイオリン部門第1位に続き、2026年6月の第24回モントリオール国際音楽コンクールで第2位とモーツァルト賞を受賞した。サントリーホール室内楽アカデミー第8期フェロー。使用楽器は日本ヴァイオリンから貸与された1690年製カルロ・ジュゼッペ・テストーレ。最新の活動情報は本人のInstagram(@sara_vn_1180)で発信されている。

クラシカル・ファイナルにモーツァルトの協奏曲第1番 K.207、本選にバルトークの協奏曲第2番を据えた。いずれもモントリオールで弾いた曲。師の1人である竹澤恭子は、本コンクールで優勝した唯一の日本人でもある。下の映像は、モーツァルト賞につながったモントリオールのモーツァルト・ラウンド。

Concours 2026 - Violon | Violin - Finale - Épreuve Mozart | Mozart Round - Sara Watanabe

本田莉愛(Ria Honda)

2000年東京生まれ、米シアトル育ちの26歳。公式が国籍を「米国/日本」と併記する唯一の出場者。コロンビア大学とイェール大学で学び、現在はジュリアード音楽院のC.V. Starr博士課程フェロー。ローリー・スマクラー、ドナルド・ワイラースタインに師事する。2021年のアーヴィン・M・クライン国際弦楽コンクール第4位、2022年度ローム ミュージック ファンデーション奨学生。ジュリアード管弦楽団のコンサートマスターを務め、2025年にはシベリウス国際ヴァイオリンコンクールにも出場した。最新の活動情報は本人のInstagram(@ria_violin)で発信されている。

予選はモーツァルトのソナタ K.303、パガニーニのカプリース第1番・第4番など。本選まで進めばシベリウスの協奏曲を弾く。

準決勝でモンゴメリーの新作を世界初演

開会式は2026年9月17日(木)。予選は9月19日(土)・20日(日)・22日(火)・23日(水)の4日間で、各出場者が45分のリサイタルを演奏する。

準決勝は9月25日(金)から28日(月)まで。16名がフルリサイタルを弾き、グラミー賞受賞の米国の作曲家ジェシー・モンゴメリー(Jessie Montgomery)に委嘱された《無伴奏ヴァイオリンのためのラプソディ第3番》を全員が演奏する。ここが世界初演の場となる。

クラシカル・ファイナルは9月30日(水)と10月1日(木)。6名が3名ずつに分かれ、イースト・コースト・チェンバー・オーケストラと共演する。本選は10月2日(金)と3日(土)で、インディアナポリス交響楽団との共演。指揮はレナード・スラットキン(Leonard Slatkin)。順位は10月3日夜の演奏終了後に発表され、10月4日(日)にガラ授賞式が開かれる。

審査員9名に堀米ゆず子 優勝賞金は75,000ドル

審査委員長は1994年から務めるハイメ・ラレード(Jaime Laredo)。ほかはデイヴィッド・チャン(David Chan)、チョ・ジンジュ(Jinjoo Cho)、パメラ・フランク(Pamela Frank)、堀米ゆず子、ベラ・フリストヴァ(Bella Hristova)、カン・ドンスク(Dong-Suk Kang)、リン・チョーリャン(Cho-Liang Lin)、スヴェトリン・ルセフ(Svetlin Roussev)の8名で、うち4名は本コンクールの過去の入賞者。日本人は堀米ゆず子のみ。

賞金は金メダル75,000ドル、銀メダル30,000ドル、銅メダル15,000ドル、第4位から第6位は10,000ドル・8,000ドル・6,000ドル。金メダリストにはカーネギーホールでのデビュー・リサイタルとCD録音契約が加わる。入賞者6名には次回2030年大会までIVCI所蔵の名器が貸与され、その中には創設者ヨーゼフ・ギンゴールド(Josef Gingold)が弾いていた1683年製ストラディヴァリウス「ex-ギンゴールド」も含まれる。

日本人の優勝は1986年の竹澤恭子のみ

第1回(1982年)から前回(2022年)までの11大会で、日本人の入賞は5回。1982年の長沼由里子(第6位)、1986年の竹澤恭子(金メダル)、1994年の神谷美千子(第5位)、2018年の外村理紗(銀メダル)、2022年の吉田南(銅メダル)。優勝は竹澤恭子ただ1人で、2026年大会はそこから40年目にあたる。なお1986年の銀メダルは、ギリシャのレオニダス・カヴァコス(Leonidas Kavakos)だった。

前回銅メダルの吉田南はその後、2024年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで第6位、2025年のシベリウス国際ヴァイオリンコンクールで第2位。2025年秋からベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1ヴァイオリン奏者としてトライアルを始めている。

全4ラウンドを無料ライブ配信

予選から本選までの全4ラウンドが無料でライブ配信される。専用の配信ページは9月12日時点で未公開で、公式サイトの大会ページで告知される予定。出場者38名の一覧と各自の全ラウンド曲目は、公式サイトの出場者ページで公開されている。