2025年12月23日(火)、かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホールで行われた「第35回日本クラシック音楽コンクール【ピアノ部門】小学校高学年女子の部」にて第1位を受賞された長谷生さん。今回は同コンクールをはじめ、これから音楽コンクールに挑戦する方に向けてお話を伺いました。
取材・文|編集部
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プロフィール
長谷生 雅(Miyabi Haseo)
東京都出身/東京学芸大学附属小金井小学校在学中
声楽家であった祖母の影響を受け、3歳よりピアノを始める。幼少期は朝起きると真っ先にピアノの椅子へ駆け登り、夢中で音を鳴らす日々を過ごした。瑞々しい感性とピアノへの純粋な情熱を原点に、現在は「先生方の世界観が今の自分を作っているすべて」という深い敬意を胸に、更なる高みを目指して研鑽を積んでいる。
田中七緒子氏を経て、現在は松山優香氏、松山元氏に師事。
趣味・特技
小学校の行事に「千葉の海での1000m遠泳」があるため、水泳教室に長く通い体力には自信がある。
【主な受賞歴】
日本クラシック音楽コンクール
・第35回 小学校高学年女子の部 第1位
・第31回・第33回 最高位
・第32回 第1位
第24回 日本演奏家コンクール
小学生低学年の部 第1位、準グランプリ、神奈川県教育委員会教育委員長賞
第23回 大阪国際音楽コンクール
Age-E2 第1位、オーディエンス賞、ジャーナリスト賞
第42回 全日本ジュニアクラシック音楽コンクール
小学2年生の部 第1位
第29回 ヤングアーチストピアノコンクール
Aグループ 金賞
Geneva Junior Music Competition 2023
Category-B 第1位
第24回 Valsesia Musica Juniores International Competition
グランプリ
【主な演奏活動・出演】
オーケストラ共演
8歳でモーツァルト(第27番)、9歳でカバレフスキー(第3番)を共演。また、東京フィルハーモニー交響楽団とベートーヴェン(第2番)を共演。
海外公演
2024年:大阪国際音楽コンクール主催 ニューヨーク・カーネギーホールでのコンサートに出演。
2025年:台湾音符田商社主催 台湾国際音楽人交流招待演奏会に出演。
その他
2025年:ヴァイオリンとのデュオコンサートを開催。
日本クラシック音楽コンクールを終えて
──コンクール、お疲れさまでした!終えた今のお気持ちをお聞かせください。
長谷生
結果を知った瞬間、喜びの気持ちが半分、「頑張ってきて良かった」というホッとした気持ちが半分でした。 そして、ご指導くださっている先生方や支えてくれている家族、応援してくれる友人の顔が浮かび、感謝の気持ちでいっぱいになりました。 弾いてみたいコンチェルトの曲がたくさんあるので、また演奏する機会をいただけることも、嬉しく思っています。
──なぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?
長谷生
現在師事している松山先生から、かつて先生のもとで学ばれていた藤田真央さんが、この日本クラシック音楽コンクールのコンチェルトに出演された時のお話を伺っていました。
また、私が低学年の頃、現在も同じ門下の先輩である稲葉千隼さんがこの舞台のコンチェルトを演奏される姿を実際に聴きに行き、その格好良さに言葉にできないほど感激したことを、今でも鮮明に覚えています。
その時から「私もいつかにこの舞台に立ちたい」と思い、目標にしてきたことが挑戦のきっかけです。
──自由曲は何を演奏されましたか?選曲理由も教えてください。
長谷生
ラヴェル「夜のガスパール」より「スカルボ」を演奏しました。 曲の持つ怖さや、いたずら好きな妖精がすばしっこく動き回る様子を表現するのは難しかったのですが、私にとって曲のイメージがしやすく、自分に合っていると思い選曲しました。
ただ、譜読みから本番まで3ヶ月半という短い期間しかなかったため、無事に仕上がるかどうか少し焦りもありましたが、本番に間に合わせることができて本当に良かったです。
──コンクール準備期間について教えてください。
長谷生
ピアノだけに集中しすぎると気持ちが疲れてしまうため、練習の合間に別の習い事に通ったり、他の方のコンサートへ出かけたり、友人と食事に行くなど、意識的に息抜きもするようにしています。
小学4年生の頃、学校の体育で跳び箱をした際に指を骨折し、靱帯も損傷してしまうという経験をしました。ちょうどクラコンの全国大会1ヶ月前というタイミングだったこともあり、本当に大変な思いをしました。その経験以来、本番前は特に怪我をしないよう気を付けるようになりました。
──練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?
長谷生
楽譜を忠実に読み込むことはもちろんですが、演奏した「スカルボ」ならではの目まぐるしく変わる拍子や、この曲が持つおどろおどろしいイメージを崩さないよう意識したり、体の使い方や響きをよく考えながら練習しました。
──本番当日のお気持ちをお聞かせください。
長谷生
当日は緊張もしていましたが、控え室では同じコンクールに出演している友人と話をしてリラックスしたり、お互いに励まし合って気持ちを高めました。 そして何より、私はホールの響きが好きなので、「練習してきたこの曲を早く弾きたい」という思いでいっぱいでした。
──日本クラシック音楽コンクールに挑戦する方へのメッセージをお願いします。
長谷生
私自身、どんなに精一杯頑張っても、思うような結果が伴わないことはありますが、本番を目指して取り組んできた練習過程で、成長できたことに意味があると思っています。 これから挑戦される皆さんも、結果以外も楽しんでいけたら良いのかなと考えています。
──今後の目標、将来の夢などをお聞かせください。
長谷生
将来の夢は、多彩な音色を持った「唯一無二のピアニスト」になることです。 その夢を叶えるためにも、今後さらに多くの作品に挑戦し、一つひとつの楽曲と誠実に向き合いながら、学びを深めていきたいと考えています。
■ クラコン記念オーケストラとの共演
2026年3月19日(木) 会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
■ 第35回日本クラシック音楽コンクール 入賞者披露演奏会
2026年3月31日(火)会場:横浜みなとみらいホール 小ホール
インタビューを終えて──編集後記
今回のインタビューを通じて、長谷生さんの音楽に対する真っ直ぐな想いと、周りの方々への感謝を忘れない優しいお人柄が伝わってきました。
憧れの存在を目標に変え、難曲「スカルボ」への挑戦や、過去の怪我をきっかけに、自分自身を丁寧に労わることを学ばれた歩みには、ひたむきでしなやかな強さが感じられます。「結果だけでなく、頑張ってきた過程での成長に意味がある」という長谷生さんの言葉は、真剣にピアノと向き合ってきたからこその温かさがあり、同じように夢を追う誰かの心を優しく包み込んでくれるはずです。
大好きなホールの響きを楽しみながら、自分だけの音色を大切にする長谷生さん。その先には、唯一無二のピアニストとして輝く未来が待っていることでしょう。春の舞台で、長谷生さんの奏でる音がホールの響きと溶け合う瞬間を、心から楽しみにしています。
これからのご活躍も、ずっと応援しています。貴重なお話をありがとうございました。




