【ショパン国際ピアノコンクール】日本人5名が1次予選通過

【ショパン国際ピアノコンクール】日本人5名が1次予選通過:ニュース
ⓒPhoto/NIFC Arcfive

第19回ショパン国際ピアノコンクールの一次予選結果が10月7日(現地時間)に発表され、全84名から40名に絞られる激戦を日本人5名が勝ち抜いた。日本最年長30歳の桑原志織をはじめ、牛田智大、中川優芽花、進藤実優、山縣美季の5名が10月9日から始まる二次予選への切符を手にした。

25歳牛田智大がトップバッターで堂々の通過

福島県いわき市出身の牛田智大(25)は、一次予選において日本人トップバッターとして全体でも3番目に登場。幼少期から神童として注目され、12歳で史上最年少デビューを果たし、現在ポーランドのフレデリック・ショパン音楽大学で研鑽を積んでいる。

2018年の第10回浜松国際ピアノコンクールで第2位と聴衆賞を獲得した実績を引っ提げ、予備予選免除で本大会出場を果たした。

ショパン研究所公式YouTubeチャンネルでは、牛田の一次予選演奏の様子が配信され、多くのファンから注目を集めた。

TOMOHARU USHIDA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)
TOMOHARU USHIDA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)

30歳桑原志織が最年長日本人として実力を証明

今回の日本人出場者の中で最年長となる30歳の桑原志織は、東京芸術大学を首席卒業後、ベルリン芸術大学大学院で研鑽を積んだエリートピアニスト。

2025年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールでファイナリスト入賞を果たし、2021年にはアルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノマスターコンクール(イスラエル)で44年ぶりの日本人上位入賞となる第2位を獲得している。

学習院初等科から東京藝術大学附属高校へと進んだ彼女は、高校3年時に日本音楽コンクールで第2位および岩谷賞(聴衆賞)を受賞するなど、着実にキャリアを積み重ねてきた。

SHIORI KUWAHARA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)
SHIORI KUWAHARA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)

20代前半の中川優芽花・進藤実優・山縣美季が続く

中川優芽花(24)は、ドイツ・デュッセルドルフ生まれの国際派ピアニスト。2021年にクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝および聴衆賞を獲得し、一躍注目を集めた。現在24歳の彼女は、幼少期からドイツで育ちながらも日本人としてのアイデンティティを保持している。

YUMEKA NAKAGAWA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)
YUMEKA NAKAGAWA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)

進藤実優(23)は愛知県大府市出身。2002年生まれの彼女は、第18回ショパン国際ピアノコンクール(2021年)でセミファイナリストに進出した実績を持つ。モスクワ音楽院付属中央音楽学校で学んだ後、現在はドイツのハノーファー音楽演劇メディア大学でアリエ・ヴァルディ氏に師事している。

MIYU SHINDO – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)
MIYU SHINDO – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)

山縣美季(23)は神奈川県鎌倉市出身。2020年の第89回日本音楽コンクールピアノ部門で第1位を獲得し、野村賞、井口賞、河合賞、三宅賞、アルゲリッチ芸術振興財団賞を同時受賞した実力者。東京芸術大学卒業後、現在はパリ国立高等音楽・舞踊学校第2課程ピアノ科に在籍している。

MIKI YAMAGATA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)
MIKI YAMAGATA – first round (19th Chopin Competition, Warsaw)

全40名の二次進出者、中国勢が14名で圧倒的存在感

今回の一次予選通過者40名の国別内訳を見ると、中国が14名で最多となり、アジア系ピアニストの台頭が顕著に表れた結果となった。日本の5名に続き、韓国3名、アメリカ3名と続く。開催国ポーランドは4名の通過に留まり、従来の欧州勢の優位性に変化が見られる。

40名中アジア系が22名(中国14名、日本5名、韓国3名)を占める結果は、近年のクラシック音楽界におけるアジア系演奏家の実力向上を如実に示している。

二次予選は10月9日から12日まで4日間にわたって行われ、さらに20名以内に絞り込まれる予定。日本人5名全員の更なる健闘が期待される。