沖縄出身の里実咲、国際ファゴット大会で3位 独創的な映像作品で世界に挑戦

© International Bassoon Meetup (official Facebook post)

2025年に開催された国際ファゴット大会「International Bassoon Meetup」において、沖縄県八重瀬町出身のファゴット奏者、里実咲が第3位に入賞した。この結果は2025年5月中旬にオンラインで発表され、里は日本人として唯一の上位入賞者となった。なお、1位と2位は欧米の奏者が占めた。

独創的な映像作品が高評価!世界が認めた表現力

このコンクールの最終審査(決勝)は、参加者が自身で企画・制作した7分から12分程度の映像作品によって行われた。里は、ファゴット演奏に他の芸術分野の表現を組み合わせた、創意工夫あふれる映像作品を提出。その独創性と表現力が高く評価された。

審査員には世界各国の著名なファゴット奏者が名を連ね、演奏技術だけでなく、芸術性や創造性も重視して審査が行われた。ある審査員は公式SNSで「作品全体の完成度と革新的なアプローチが際立っていた」とコメントしており、里のパフォーマンスが審査員たちの心に響いたことがうかがえる。

沖縄から世界へ羽ばたく若き才能・里実咲

里実咲は沖縄県八重瀬町の出身。幼い頃から音楽に親しみ、高校時代にファゴット奏者としての才能を開花させた。国内では、第30回日本クラシック音楽コンクール高校の部で第2位(1位なし)に輝くなど、数々の実績を持つ。2023年度には青山音楽財団の奨学生にも選ばれている。

現在は音楽大学に在学し、オーケストラや室内楽で日々技術を磨いている最中だ。先生方の指導を受けながら確かな技術と豊かな音楽性を育み、今回のコンクール挑戦へと繋げた。

若手ファゴット奏者の登竜門「International Bassoon Meetup」とは?

里が挑戦したコンクールを主催する「インターナショナル・バスーン・ミートアップ」は、2024年に設立された国際的なファゴット交流・競技プラットフォーム。この組織の大きな特徴は、プロを目指す若い奏者に向けて、オンラインで参加できるコンクールを提供している点だ。

主なプログラムには、オーケストラのオーディション形式で競う「オーケストラル・エクセルプツ・コンペティション」と、今回里が入賞した、創造性を競う「アーティストリー&アンコンベンショナル・コラボレーション・コンペティション」の2部門がある。世界中から多様なバックグラウンドを持つ参加者が集い、競い合う場となっている。

審査は各国のオーケストラの首席奏者や教授陣が担当し、技術面はもちろん、独創的な芸術表現や将来性も評価の対象となる。オンライン開催で参加費が無料という開かれた方針により、地理的・経済的なハードルを下げ、世界中の才能ある若手を発掘し、育成することに貢献している。

「これを機会に頑張りたい」~里の喜びの声と今後の展望~

入賞の知らせを受け、里実咲は「驚いたが、これを機会に頑張りたい」と喜びと決意を語った。自身のSNSでも、指導者や支援者への感謝の言葉とともに、今回の成果を今後の活動の力にしていくという意気込みを綴っている。

将来的にはプロのファゴット奏者として、オーケストラやソロの舞台で活躍することを目標に掲げており、今回の受賞はその夢への大きな一歩となるだろう。

地元沖縄にとっても、里の活躍は若い音楽家を目指す人々にとって大きな励みとなり、地域のクラシック音楽振興にも繋がる意義深い出来事。里は「これからも挑戦を続け、音楽を通じて恩返ししていきたい」と抱負を述べている。