この記事の要点
- 東関東支部は千葉・神奈川・茨城・栃木の4県で構成され、代表枠は3校。全国屈指の激戦区で「東関東に入らなければ全国に行ける」とまで言われる
- 千葉県立幕張総合高等学校は全国大会出場5回で金賞5回、金賞率100%という驚異的な記録を持つ。2023年から3年連続金賞で東関東の新たなエースに
- 習志野市立習志野高等学校は「美爆音」の異名で知られる吹奏楽の名門。全国38回出場・金賞26回は全国屈指の実績
- 柏市立柏高等学校は全国35回出場・金賞19回。マーチングでも全国26回出場の「二刀流」
- 2023年以降、全国代表3枠はすべて千葉県の学校が占めている。常総学院や横浜創英など他県の強豪は「千葉の壁」に挑み続けている
「東関東の吹奏楽強豪校ってどこだろう?」——吹奏楽ファンなら一度は気になるテーマですよね。
東関東は全国11支部のなかでも最激戦区と言われる地域です。全国大会で金賞を量産する学校が代表3枠を争い、その枠に入れなかった学校でさえ他支部なら全国金賞レベル——そんな異次元の戦いが毎年繰り広げられています。2023年以降は全国代表がすべて千葉県の学校で占められるという「千葉独占」状態が続いており、その層の厚さは全国でも群を抜いています。
この記事では、過去5年間(2021〜2025年)の全日本吹奏楽コンクール・東関東支部大会の結果をもとに、東関東を代表する強豪高校5校を紹介します。各校の実績・音楽的特徴・注目の演奏動画を詳しくお伝えします。
音楽コンクールガイド編集部が、過去5年分の全日本吹奏楽コンクールの全結果データを集計・分析し、5校を選定しました。
東関東吹奏楽の実力 — 全国屈指の激戦区、代表3枠の壮絶な争い
東関東支部は千葉・神奈川・茨城・栃木の4県で構成され、東関東支部大会には毎年約24校が出場します。そのうち全国大会に進めるのはわずか3校。しかもその3枠を争うのが、全国大会で金賞を量産する千葉の強豪校たち。「東関東に入らなければ全国に行ける」という言葉は、この支部のレベルの高さを端的に表しています。
過去5年間(2021〜2025年)の全国大会成績一覧
| 学校名 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 金賞率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 千葉県立幕張総合高等学校 | — | — | 金 | 金 | 金 | 100% |
| 習志野市立習志野高等学校 | 金 | 金 | 銀 | 金 | 銅 | 60% |
| 柏市立柏高等学校 | 金 | 銀 | 金 | 銀 | 銀 | 40% |
| 常総学院高等学校 | 銀 | 銅 | — | — | — | 0/2 |
| 横浜創英中学・高等学校 | — | — | — | — | — | — |
※結果欄の「—」は全国大会不出場。金賞率は直近5年間の全国大会出場回数に対する金賞回数で算出(常総学院は2回出場0回金賞、横浜創英は未出場のため「—」)。常総学院・横浜創英は東関東大会で金賞を獲得しながらも代表3枠に入れていない年がある
勢力図の変化:幕張総合の台頭と千葉3強の時代
5年間で最も劇的な変化は、幕張総合の急成長です。2023年に10年ぶりの全国復帰を果たすと、そこから3年連続金賞。通算5回出場ですべて金賞という金賞率100%は、全国でも類を見ない記録です。
2021〜2022年は習志野と柏の「千葉2強」に常総学院(茨城)が絡む構図でしたが、2023年に幕張総合が割って入り、「千葉3強」の時代が到来。以降、全国代表3枠をすべて千葉県が占める状況が続いています。常総学院は東関東大会で毎年金賞を獲得しながらも代表枠に届かない——この「千葉の壁」の厚さが、東関東の激戦ぶりを象徴しています。
1. 千葉県立幕張総合高等学校(千葉県千葉市)— 全国出場5回・金賞5回、金賞率100%の新エース
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-6 |
| 設立区分 | 県立(公立・共学) |
| 部員数 | 約230名 |
| 全国大会通算 | 5回出場・金賞5回 |
コンクール実績(2021〜2025年)
| 年度 | 大会 | 自由曲 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 第73回 | 吹奏楽のための交響的素描「オセロ」より(A.リード) | 金賞 |
| 2024 | 第72回 | 「スペイン狂詩曲」より I.夜への前奏曲 IV.祭り(M.ラヴェル) | 金賞 |
| 2023 | 第71回 | バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(M.ラヴェル) | 金賞 |
※2021年・2022年は東関東大会金賞(全国代表ならず)
音楽的特徴・強み
全国大会に出場するたびに金賞——幕張総合の「金賞率100%」は、全国の高校吹奏楽の中でも際立つ記録です。正式名称は「シンフォニックオーケストラ部」。弦楽器を含む約230名の大編成で、吹奏楽コンクールには管楽器・打楽器のメンバーが出場します。
漫画『青のオーケストラ』のモデル校としても知られ、オーケストラ編成ならではの色彩感豊かな音響表現が最大の魅力。ラヴェルやR.シュトラウスなど、管弦楽の名曲を原曲のニュアンスに近い形で再現する力は、弦楽器セクションとの日常的な合奏経験が生み出したものです。
2023年の10年ぶりの全国復帰から3年連続金賞。名実ともに東関東の新しいエースとして、その地位を確立しました。
注目の演奏
- Spring Concert 2024 ハイライト(公式チャンネル) — オーケストラ部の定期コンサート
- コンクール練習を大公開(バンドジャーナル2024年9月号) — コンクールに向けた練習の様子
- バーミンガム市響と共演した高校生たち(ぶらあぼブラス) — 海外の名門オーケストラとの共演
2. 習志野市立習志野高等学校(千葉県習志野市)— 「美爆音」全国38回出場・金賞26回の王者
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県習志野市東習志野1-2-1 |
| 設立区分 | 市立(公立・共学) |
| 部員数 | 約170名 |
| 全国大会通算 | 38回出場・金賞26回 |
| マーチング全国 | 金賞17回 |
コンクール実績(2021〜2025年)
| 年度 | 大会 | 自由曲 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 第73回 | スペイン奇想曲より(リムスキー=コルサコフ) | 銅賞 |
| 2024 | 第72回 | バレエ音楽「三角帽子」より(M.d.ファリャ) | 金賞 |
| 2023 | 第71回 | 交響詩「海」より III.風と海との対話(C.ドビュッシー) | 銀賞 |
| 2022 | 第70回 | スペイン狂詩曲より(M.ラヴェル) | 金賞 |
| 2021 | 第69回 | 楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り(R.シュトラウス) | 金賞 |
音楽的特徴・強み
「美爆音」——習志野高校を語るとき、この言葉を避けることはできません。約170名の大編成から生み出される圧倒的な音圧と美しさの融合は、全国の吹奏楽ファンを魅了し続けています。
全国大会38回出場・金賞26回。この数字は日本の高校吹奏楽の歴史でもトップクラスです。マーチングコンテストでも全国金賞17回の実績を持ち、座奏とマーチングの両面で頂点に立ってきました。
R.シュトラウスの《サロメ》、ラヴェルの《スペイン狂詩曲》など、ロマン派〜近代のオーケストラ作品を吹奏楽で高度に表現する演奏スタイルが伝統。甲子園の野球応援での「美爆音」はテレビでも繰り返し取り上げられ、千葉ロッテマリーンズや千葉ジェッツの公式戦でも演奏するなど、プロスポーツ界とのコラボレーションも活発です。
2025年は銅賞に終わりましたが、38回目の全国出場という安定した代表獲得力は揺らいでいません。直近5年間では金賞3回・銀賞1回・銅賞1回と高い勝率を維持しています。
注目の演奏
- 【大迫力】”美爆音”で球場に一体感 習志野高校吹奏楽部(千葉ロッテ、2023年) — プロ野球での美爆音
- 名門・習志野高校吹奏楽部 全日本マーチングコンテスト密着(ブカピ) — マーチング全国大会の密着ドキュメンタリー
- コンクール名演集Vol.3(ブレーン公式) — コンクール演奏のダイジェスト
3. 柏市立柏高等学校(千葉県柏市)— 全国35回出場・金賞19回、マーチングも全国級
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県柏市船戸山高野325-1 |
| 設立区分 | 市立(公立・共学) |
| 全国大会通算 | 35回出場・金賞19回 |
| マーチング全国 | 26回出場 |
コンクール実績(2021〜2025年)
| 年度 | 大会 | 自由曲 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 第73回 | 月下に浮かぶひとすじの道標〜3.11 超克の祈り〜(樽屋雅徳) | 銀賞 |
| 2024 | 第72回 | 交響詩「鯨と海」(阿部勇一) | 銀賞 |
| 2023 | 第71回 | とこしえの声〜いまここに立つ母の姿〜(樽屋雅徳) | 金賞 |
| 2022 | 第70回 | — | 銀賞 |
| 2021 | 第69回 | 交響詩「ヌーナ」(阿部勇一) | 金賞 |
音楽的特徴・強み
通称「イチカシ」。全国大会35回出場・金賞19回に加え、全日本マーチングコンテスト全国大会に26回出場。座奏とマーチングの両方で全国トップクラスの実績を持つ、日本の吹奏楽界を代表する学校のひとつです。
「市柏サウンド」と呼ばれる独特の音色は、絶対的な音程合わせの徹底から生まれています。「1分1秒を大切に」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」をスローガンに、年間100回近い本番をこなす中で磨き上げられたサウンドは、どこにも真似できない個性です。
三味線やダンスを取り入れたエンターテインメント性の高いコンサートも柏の大きな魅力。年末のチャリティコンサートは4日間8公演で1万人以上を動員し、地域に愛される吹奏楽部の姿を体現しています。日本管楽合奏コンテストでは最優秀グランプリ賞を13回受賞するなど、コンクール以外の舞台でもその実力を発揮しています。
注目の演奏
- 2021 リフレッシュプラザ柏コンサート — 地域コンサートの演奏映像
- 2017 プロムナードコンサート — 選抜大会でのプロムナードコンサート
- 柏de吹奏楽PARTY 2024(道の駅しょうなん) — 地域イベントでの演奏
4. 常総学院高等学校(茨城県土浦市)— 金賞14回、「千葉の壁」に挑む茨城の名門
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県土浦市中村西根1010 |
| 設立区分 | 私立(共学) |
| 全国大会通算 | 23回出場・金賞14回 |
| アンサンブル全国 | 9回出場・金賞7回 |
コンクール実績(2021〜2025年)
| 年度 | 大会 | 自由曲 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 第69回 | 交響詩「ドン・ファン」(R.シュトラウス) | 銀賞 |
| 2022 | 第70回 | 交響三章より 第3楽章(三善晃) | 銅賞 |
※2023年〜2025年は東関東大会金賞(全国代表ならず)
音楽的特徴・強み
全国大会23回出場・金賞14回——常総学院は、東関東を代表する実力校です。全国の舞台に立てば高い確率で金賞を獲得してきた歴史が、この学校の実力を証明しています。
R.シュトラウスの《ドン・ファン》、三善晃の《交響三章》など、大規模な交響詩・管弦楽作品への挑戦を重視する姿勢が特徴。「才能より努力」をスローガンに掲げ、1983年の創部以来、着実に実績を積み上げてきました。全日本アンサンブルコンテストでも全国9回出場・金賞7回という高い実力を持っています。
近年は千葉3校が代表枠を独占する構図に阻まれ、東関東大会金賞を獲りながらも全国に届かない年が続いています。しかしその実力は全国金賞レベルであることを、過去の実績が雄弁に語っています。
注目の演奏
- 【感動・涙の特別演奏会】常総学院 吹奏楽部(ブカピ) — 感動のドキュメンタリー
- 常総学院 土浦駅クリスマスコンサート(2025年12月) — 地域に愛される演奏活動
- 3年生のための特別演奏会(2020年) — コロナ禍で開催された特別演奏会
5. 横浜創英中学・高等学校(神奈川県横浜市)— 神奈川のトップランナー、全国金賞の実績
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区西大口28 |
| 設立区分 | 私立(共学) |
| 部員数 | 約174名 |
| 全国大会通算 | 8回出場・金賞1回 |
コンクール実績(2021〜2025年)
直近5年間は全国大会出場なし。ただし東関東大会では金賞を複数回獲得しており、2024年には東関東金賞に輝いています。全国大会には通算8回出場し、2014年には金賞を受賞しています。
音楽的特徴・強み
神奈川県の吹奏楽をリードする存在として、横浜創英は東関東大会の金賞常連校です。約174名の大編成から生まれる豊かなサウンドが持ち味で、日本管楽合奏コンテスト全国大会でも最優秀賞を受賞するなど、コンクール以外の舞台でもその実力を発揮しています。
千葉県勢の圧倒的な強さに阻まれ、近年は全国代表への返り咲きが実現していませんが、全国金賞の経験を持つ横浜創英は、千葉の壁を突き破る最有力候補のひとつです。2014年に全国金賞を獲得した実績は、神奈川県の吹奏楽ファンにとって大きな誇りになっています。
注目の演奏
- 2024 全日本高等学校吹奏楽大会in横浜 プロムナードコンサート — 横浜大会でのプロムナードコンサート
- 横浜創英 4K Cinematic演奏(2024年11月) — 4K高画質で収録されたイベント演奏
よくある質問(FAQ)
東関東の吹奏楽コンクールはいつ開催されますか?
各県大会が例年7〜8月、東関東支部大会が9月に開催されます。東関東大会で選ばれた3校が10月の全日本吹奏楽コンクール(全国大会)に出場します。
東関東から全国大会には何校出場できますか?
東関東支部からの全国大会代表枠は3校です。千葉・神奈川・茨城・栃木の4県から約24校が東関東支部大会に出場し、そのうち3校だけが全国大会に進めます。
「東関東に入らなければ全国に行ける」とはどういう意味ですか?
東関東支部は全国金賞を量産する千葉の強豪校が集中しているため、東関東大会で代表になれなかった学校でも、他の支部なら全国大会に出場し金賞を獲れるレベルにある——という意味の言い回しです。それほどこの支部の競争レベルが高いことを表しています。
千葉県以外の学校は全国大会に出場していますか?
直近5年間では、茨城県の常総学院が2021年・2022年に全国出場しています。ただし2023年以降は全国代表3枠がすべて千葉県の学校で占められています。常総学院、横浜創英(神奈川)、作新学院(栃木)など他県の学校も東関東大会では毎年金賞を獲得しており、代表枠への挑戦は続いています。
吹奏楽が強い高校に入学するにはどうすればいいですか?
習志野・柏・幕張総合はいずれも公立高校で、一般入試で入学できます。常総学院は私立の進学校です。横浜創英も私立校です。まずは志望校の定期演奏会に足を運んでみることをお勧めします。習志野や柏は野球応援でも有名なので、甲子園のテレビ中継で演奏を聴いたことがある方も多いかもしれません。
全日本吹奏楽コンクールで金賞を取るのはどれくらい難しいですか?
全日本吹奏楽コンクール高校の部では、全国数千校の中から地区大会→県大会→支部大会を勝ち抜いた約30校が全国大会に出場します。その30校のうち金賞を受賞できるのは約10校です。全国大会の舞台に立つだけでも極めて狭き門であり、金賞はさらにその中の選ばれた学校だけが手にできる栄誉です。
まとめ
幕張総合の全国出場5回すべて金賞という驚異的な記録、習志野の「美爆音」と38回全国出場の歴史、柏の「市柏サウンド」と金賞19回の伝統——東関東は、日本の吹奏楽界で最もハイレベルな戦いが繰り広げられる支部です。
そして金賞14回を誇る常総学院が千葉の壁に挑み続ける姿、神奈川のトップランナー・横浜創英が代表枠への返り咲きを目指す姿は、東関東の層の厚さを象徴しています。「東関東に入らなければ全国に行ける」——この言葉が、この支部のすべてを物語っています。
2026年のコンクールシーズン、幕張総合は4年連続金賞を達成するのか、習志野は巻き返しを見せるのか、それとも常総学院が千葉の壁を突き破るのか。代表枠わずか3校の超激戦区だからこそ生まれるドラマに、目が離せません。各校の定期演奏会やSNSをフォローして、一緒に注目していきましょう。
編集部では毎年、全日本吹奏楽コンクールの全支部大会・全国大会の結果を追跡し、各校の動向を分析しています。お探しのコンクール情報は、音楽コンクールガイドで見つかります。
この記事を書いた人
音楽コンクールガイド編集部
国内外の音楽コンクール情報を網羅的に発信するメディア「音楽コンクールガイド」の編集チーム。全日本吹奏楽コンクールをはじめとする各種大会のデータ分析を行い、出場者・保護者・指導者に役立つ情報を届けています。



