モンゴル出身のバリトン歌手、エンフバト・アマルトゥブシン氏が世界最高峰のオペラ歌手ランキング「Opera World TOP Singers Ranking」のバリトン部門で第1位を獲得した。
国営モンツァメ通信社が6月13日に報じたこの快挙は、同氏が国際的なオペラファンや批評家から高い評価を受け、世界で最も権威ある劇場での活動が認められた結果だ。
バリトン部門で単独首位の快挙、52週間の実力評価
Opera Worldが6月11日に発表した最新ランキングでは、アマルトゥブシン氏がバリトン部門で単独首位の座を獲得した。
同ランキングは世界6大歌劇場(メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、ロイヤル・オペラハウス、バイエルン国立歌劇場)での出演回数を主要指標として、52週間にわたる活動実績を客観的に評価するシステムを採用している。
同氏は世界で最も権威ある劇場の舞台でその才能を発揮し続け、「トップ・オブ・トップ」であることを改めて証明した。
チャイコフスキー国際コンクール2位からの華麗なる躍進
2009年からクラシック音楽の道を歩み始めたアマルトゥブシン氏の国際的キャリアは、2011年の第14回チャイコフスキー国際コンクールで第2位および観客賞を受賞したことから本格的にスタートした。
このコンクールはロシアが誇る世界最高峰の音楽コンクールの一つで、多くの世界的演奏家を輩出してきた歴史ある舞台である。同氏の受賞は、モンゴル出身者としては異例の快挙として注目を集めた。
プラシド・ドミンゴ主宰「オペラリア」制覇の軌跡
2012年には、世界的テノール歌手プラシド・ドミンゴ氏が主催する「オペラリア」国際声楽コンクールで優勝を果たした。この大会は若手オペラ歌手の登竜門として知られ、過去の優勝者の多くが世界的スターへと成長している。
アマルトゥブシン氏の優勝は、彼の実力が世界トップレベルにあることを証明する重要な節目となった。翌2013年にはフランシスコ・ヴィニャス国際声楽コンクールでも第2位に入賞し、加えてロシア作曲家作品の最優秀歌唱賞を受賞するなど、着実にキャリアを積み重ねた。
スカラ座、メト、ウィーン国立歌劇場を制した世界的実力
その後の活躍も目覚ましく、2015年には「BBCカーディフ・シンガー・オブ・ザ・ワールド」で観客賞を獲得し、2016年には「ソウル国際音楽コンクール」で第3位に入賞した。
これらの受賞歴を背景に、アマルトゥブシン氏は世界の主要歌劇場で活動を展開。ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場などの舞台で圧倒的な存在感を示し、国際的なオペラファンから絶大な支持を獲得している。
## 25歳でモンゴル功労芸術家認定、文化大使の重責
1986年3月23日生まれのアマルトゥブシン氏は、2011年に25歳という若さでモンゴルの「功労芸術家」称号を授与された。さらに2022年には、オフナー・フレルスフ大統領の勅令により「人民芸術家」の最高位称号を授与され、現在は文化大使としても活動している。
同氏は今年開催される「アレーナ・ディ・ヴェローナ」フェスティバル第102回シーズンに出演予定で、オペラ『ナブッコ』で開幕を飾るほか、『リゴレット』『アイーダ』『椿姫』への出演も予定されており、同フェスティバルの中心的存在として期待されている。