徳島、香川、愛媛、高知の4県で構成される四国支部エリア。比較的小規模な吹奏楽部が多いエリアですが、それをうまく生かして独自のサウンドをつくりだしているのが特徴です。
本記事では四国エリアで輝きを放つ強豪10校を厳選して紹介!各校の取り組みや強み、選曲の傾向などにスポットをあてて、特徴を解説しています。
どの中学校も2025年の全日本吹奏楽コンクール出場が期待される実力校。各校の名演動画と合わせて、ぜひチェックしてみてくださいね。
松山市立西中学校(愛媛県松山市)
最近5年の全国大会出場は、2021年、2022年。コロナ禍を挟みつつも、2018年から「4大会連続」の全国出場を果たしており、四国支部を代表する常連校です。2021年、2022年の全日本吹奏楽コンクール中学校の部ではいずれも銅賞を受賞しました。
2022年全国大会では自由曲にグレイアム作曲「巨人の肩にのって」を選曲。勢いと迫力あるサウンドと繊細な音色を両立させ、会場を魅了しました。難曲を豊かに表現するその演奏は高い評価を受けています。50人規模の大編成ながら各パートのバランスが良く、厚みのあるハーモニーが持ち味です。部員同士の息の合ったアンサンブルと曲想を的確に捉えた表現力の高さが、強豪たる所以です。
四国中央市立三島東中学校(愛媛県四国中央市)
最近5年の全国大会出場は、2022年、2024年。結果は両年とも銅賞でした。四国大会では毎回安定した成績をおさめている常連校です。
2022年全国大会では、福島弘和作曲「吹奏楽のためのエッセイII」を演奏。息の合ったアンサンブルを披露しました。2024年には天野正道作曲「リベラシオン」を力強く演奏し、会場を魅了しました。
三島東中は、部員数の少なさをカバーするきめ細やかさと集中力が武器。指導者の脇展子先生の下、基礎から丁寧に音を作り上げ、小編成でも豊かな響きを実現しています。木管セクションのしなやかな音色と金管の芯のある響きが融合した「息の合った演奏」が見どころです。
四国中央市立川之江南中学校(愛媛県四国中央市)
最近5年の全国大会出場はないものの、四国支部大会での活躍が顕著です。2023年、2024年と連続して金賞を受賞し、代表まであと一歩に迫りました。特に2023年は僅差で代表を逃したものの、愛媛勢上位校として存在感を示しています。
2023年は自由曲としてモシュコフスキ作曲「異国」よりを演奏し、メリハリの効いた演奏で会場を沸かせました。2024年は「クープランの墓」より I.プレリュード IV.リゴードン V.メヌエットを躍動感たっぷりに演奏。安定した実力を見せつけました。
同市の三島東中と切磋琢磨しながら上を目指している川之江南中。規模は中程度ながら、パワフルなサウンドと明るい響きが持ち味です。特に金管セクションの勢いは県内でもトップクラスと言えるでしょう。物語性のある大作に挑むことが多く、各声部の掛け合いやダイナミクスの表現などで高い音楽性を発揮します。
愛媛大学教育学部附属中学校(愛媛県松山市)
最近5年の全国大会出場はないものの、四国支部大会での活躍が目立つ常連上位校です。2021年、2022年には金賞を受賞。2023年、2024年は銀賞を受賞しています。
四国支部大会で金賞を受賞した2022年には、天野正道作曲「GR」より シンフォニック・セレクションを演奏し、観客から大きな拍手を受けました。日頃から校内行事などで演奏披露する機会も多く、その安定感ある演奏は教育関係者からも高評価を得ています。
大学附属校ということもあり、音楽科の教員による指導体制が充実。基礎練習から高度な合奏まで系統立てて鍛えられています。木管楽器の柔らかな響きや、各パートの音程の正確さには定評があり、コンクールでは堅実かつ表情豊かな演奏で安定して上位に食い込んでいます。今後の活躍が期待されます。
今治市立南中学校(愛媛県今治市)
最近5年の全国大会出場はありませんが、県大会では度々金賞を勝ち取り四国支部大会に駒を進めています。2024年には四国支部大会で金賞を受賞し、愛媛の実力校として存在感を示しました。
2024年にはR.ワーグナーの「歌劇《さまよえるオランダ人》序曲」に挑戦。重厚な序曲を表現力豊かに演奏し、緻密さと大胆さを兼ね備えた名演で注目されました。また、2023年の四国支部大会では、銀賞を受賞しています。
明るいサウンドと細部までこだわる練習姿勢が強み。特に旋律の歌わせ方が上手く、フレーズごとの表情づくりに長けています。近年めきめきと力を付け、他県の強豪とも互角に渡り合えるレベルに達しました。
徳島市立城東中学校(徳島県徳島市)
最近5年の全国大会出場は、2021年。名古屋での全国大会に初日から出演し、銅賞を受賞しました。過去にも複数回の全国大会への出場経験があります。
2021年の全国大会ではJ.バーンズ作曲「交響曲第3番」を堂々と演奏。強みである重厚なサウンドと緻密なアンサンブルを披露しました。顧問の藤本澄代先生の長年の指導の下、管楽器セクションの豊かな響きと打楽器の安定感に定評があります。全パートのバランスが良く、特に金管の力強さと木管の繊細さを両立させたサウンドが特徴です。
徳島市立国府中学校(徳島県徳島市)
最近5年の全国大会出場は、2023年。四国支部大会で代表に選出され、名古屋での全国大会に出場、銅賞を受賞しました。2019年にも全国大会出場(銅賞)を経験しています。
2023年全国大会ではフェラン作曲の交響曲第2番「キリストの受難」よりを演奏。緻密な演奏で会場を魅了しました。近年力を伸ばしてきた徳島の名門校です。少人数ながら各自の基礎力が高く、アンサンブルの精度の高さが光ります。旋律の歌いまわしや強弱のメリハリを丁寧に表現できるのが強みです。
高松市立古高松中学校(香川県高松市)
最近5年の全国大会出場は、2023年。銅賞を受賞しています。香川県の中学校としては数年ぶりの全国出場で、地元から大きな期待を集めました。
2023年には自由曲にアッペルモント作曲の「ブリュッセルレクイエム」を選曲。全国の檜舞台でも落ち着いた演奏を披露し、会場から大きな拍手を受けました。部員数は少なめですが、木管と金管の音色バランスが優れている点が特徴です。少人数を生かしたクリアなサウンドと正確なアーティキュレーションに定評があります。基礎練習の徹底と、生徒たちのまじめな取り組み姿勢で年々レベルアップを遂げ、ついに全国の舞台へ。今後の活躍が期待される強豪校の一つです。
高知学芸中学校(高知県高知市)
最近5年の全国大会出場は、2024年。自由曲には樽屋雅徳作曲「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(2022年版)」を選曲。多彩な音色とダイナミックな表現力を披露し、銅賞を受賞しました。
高知学芸中学校は、高知学芸高等学校に併設された中高一貫校。中学生とは思えない表現力と完成度の高さが強みです。高校の吹奏楽部とも連携した指導体制により、基礎力と音楽性を育んでいます。少人数で全国に挑みましたが、一人ひとりの技術が高く、アンサンブルでは各パートがソリスティックに輝きながらも調和するサウンドを作り上げています。選曲のセンスも光り、コンクールでは独自の色を出せる強みがあります。
高知市立愛宕中学校(高知県高知市)
最近5年の全国大会出場はないものの、近年は高知県代表として四国支部大会に頻繁に出場しています。2021年、2024年には四国支部大会で金賞を受賞しました。
2024年四国支部大会ではスミスの「ルイ・ブルジョアの賛美歌による変奏曲」を取り上げ、金賞を受賞。県内の吹奏楽ファンを驚かせました。惜しくも代表は逃したものの、その勢いある演奏に審査員からも賛辞が贈られています。近年急速に力をつけてきた高知市の実力校。明るく抜けの良いブラスセクションの響きと、打楽器セクションの安定感が強みです。指導面では高知県内のプロ奏者からレッスンを受ける機会もあり、そうした恵まれた環境も同校の成長を後押ししています。
自然豊かな四国の地で、全国大会を目指し切磋琢磨する強豪校を紹介しました。選曲の個性や指導体制に違いはあっても、「音楽を心から楽しみ感動を届けたい」という情熱は変わりません。今年の全日本吹奏楽コンクールでも各中学校のさらなる活躍に、ぜひご注目ください!