第17回ウィーン国際ベートーヴェンピアノコンクールの結果が発表 1位はアメリカのハートマン

©International Beethoven Piano Competition Vienna  (official facebook post)
©International Beethoven Piano Competition Vienna (official facebook post)

5月24日、ウィーン楽友協会大ホールで第17回ウィーン国際ベートーヴェンピアノコンクール決勝が開催され、米国出身の28歳、デレク・ハートマンが優勝の栄冠を手にした。

ヨナス・シュタルク(独)とマルティン・ネーバウアー(墺)は同率2位、特別賞ディヒラー賞は中国のリ・ティエンヨウへの授与が決まった。

日本勢の決勝進出はならなかったが、石田成香と真下航がセミファイナルまで進む健闘を見せた。全ラウンドの模様はyoutubeでライブ配信され、アーカイブでの視聴もできる。

圧巻の第4協奏曲!ハートマンが聴衆を魅了し頂点へ

決勝でハートマンは、ウィーン交響楽団と共に《ピアノ協奏曲第4番》を演奏し、そのパフォーマンスは審査員から特に高い評価を得た。同じくファイナリストのシュタルクも同協奏曲で詩情豊かな表現を、ネーバウアーは《協奏曲第3番》で劇的なコントラストをそれぞれ見せた。

優勝したハートマンには、賞金3万ユーロとベーゼンドルファー製コンサートグランドピアノ(Model 214 VC)が贈られることになった。

楽聖の名を冠す試練!60年超の歴史を誇る国際コンクール

1961年創設の同コンクールは、ベートーヴェン作品のみを審査対象とする、60年以上の歴史を誇る伝統の国際舞台だ。過去の第1位には内田光子(1969年)のほか、ジョン・オコナー、シュテファン・ヴラダーといった名手が名を連ねる。

第17回を迎えた今回は、32か国から306件の応募が集まり、オンライン選考を通過した21名がウィーンでのライブ審査へと進んだ。

日本からは石田成香、真下航の2名が一次ラウンドに出場。石田は「ピアノソナタ第23番《熱情》」や《アンダンテ・ファヴォリ》を、真下はソナタ第30番などを演奏し、その存在感をアピールした。

新たな境地へ!受賞者たちの未来と日本勢の挑戦

ハートマンには今後、欧米・アジアでの受賞者ツアーや《皇帝》協奏曲の録音企画が控える。「ベートーヴェンの探究を活動の中心に据えたい」と、決勝後に力強く抱負を述べた。

一方、日本勢の石田と真下は、「世界基準の舞台で学びが多かった」とSNSに投稿、秋以降のリサイタルやコンクールへの挑戦も視野に入れている。

シュタルク、ネーバウアーについても各国オーケストラとの共演が決まっており、入賞者それぞれが国際的なキャリアを広げていくことになりそうだ。