反田恭平が代表を務める「Japan National Orchestra」(JNO)のメンバーによる若手演奏家を対象とした滞在型演奏指導プログラム「Nara for Culture ~ムジーク・サポート~ MUSIK CAMP」の2025年度参加者募集が開始された。9月10日(水)まで受付中で、厳選されたオーディション合格者のみが、この貴重な学びの機会を得ることができる。
世界的ピアニスト反田恭平氏が直接指導する貴重な機会
2021年、第18回ショパン国際ピアノ・コンクールにて日本人では半世紀ぶりとなる第2位を受賞し、世界の注目を集めた反田恭平。現在はウィーンを拠点に世界各地で活躍する同氏が、自身がプロデュースするJNOのメンバーとともに、次世代を担う若手演奏家の直接指導に当たる。
反田は「演奏技術の向上だけでなく、音楽家としての心得や表現力の深化を目指したい」と語り、単なる技術指導を超えた包括的な音楽教育を提供する意向を示している。2024年の初回開催では、受講者から「音楽家としての心得や強弱の捉え方、アンサンブルをやる上で必要な要素など、様々な視点から教えて頂いた」との声が寄せられ、その指導の質の高さが証明されている。
Japan National Orchestraメンバーによる室内楽特化カリキュラム
指導陣には、JNOの中核メンバーが名を連ねる。ヴァイオリンの東亮汰は、イザイ国際音楽コンクール2025で第3位、第30回ヨハネス・ブラームス国際コンクール第2位、第88回日本音楽コンクール第1位及びレウカディア賞、鷲見賞、黒栁賞など輝かしい受賞歴を誇る。同じくヴァイオリンの中村友希乃は、東京藝術大学を経て現在ミュンヘン音楽演劇大学マイスター課程に在籍中の実力派だ。
ヴィオラの辻菜々子はベルリン芸術大学修士課程でハルトムート・ローデ氏に師事し、ドイツで豊富な演奏経験を積んできた。チェロの水野優也は第76回プラハの春国際音楽コンクール チェロ部門で優勝を果たしている。
このような国際的な舞台で活躍するトップアーティストたちが、室内楽を中心とした実践的なカリキュラムで、アンサンブル能力の向上を目指す指導を行う。参加者は小編成での緻密なアンサンブル体験を通じて、個人の技術だけでは得られない音楽的な対話力を身につけることができる。
奈良の文化拠点で展開される次世代育成プロジェクト
プログラムは「Nara for Culture」構想の一環として実施される。奈良県は2022年2月28日にJNOと「文化活動の振興に関する連携協定」を締結し、[奈良を”クリエイティブ・アーティストが集まる場”]にすることを目指している。
演奏指導は11月1日(土)・2日(日)に[奈良春日野国際フォーラム~甍~]で行われ、参加者は古都奈良の豊かな文化環境の中で音楽と向き合うことができる。2024年の参加者からは「様々な日本の文化を感じられる奈良の地で音楽に取り組めたことで、とても豊かな経験をすることができた」との感想が寄せられている。
このプログラムは、単なる指導にとどまらず、地域文化の振興と若手音楽家の育成を両立させる先進的な取り組みとして注目されている。
15歳から25歳限定の厳選オーディション
参加対象は15歳(高校1年生)以上25歳以下で、音楽高校・大学・専門学校に在学または卒業している方、それに準ずる能力を有する方。募集楽器はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロでそれぞれ4名程度となっている。
オーディション審査では、楽器歴、師事歴、コンクール実績に加えて、演奏動画による審査を実施。課題は「異なる時代の作曲家の作品を1曲ずつ演奏(合計2曲)」で、ソロまたはピアノ伴奏付きでの演奏が求められる。審査結果は9月末頃に通知される予定だ。
2024年の初回開催では、東京、神奈川、奈良、京都、愛知から16~22歳の総勢11名が参加。全国各地から集まった意欲的な若手演奏家たちが、3日間の集中的な指導を受けた。
最終日の成果発表コンサートで実践経験を積む
プログラムの最終日である11月3日(月・祝)には、[なら100年会館 中ホール]で成果発表コンサートが開催される。参加者は3日間の指導で磨き上げた演奏を、一般聴衆の前で披露する貴重な機会を得る。
2024年の成果発表コンサートは学園前ホールが満席となり、大きな反響を呼んだ。参加者からは「満席のお客様の前での成果発表会、緊張と興奮であっという間に時間が過ぎた。室内楽が更に好きになった」との声が上がっている。
このコンサートは、単なる発表の場ではなく、プロの演奏家として必要な舞台経験を積む実践的な学習機会として位置づけられている。聴衆との対話や緊張感のある本番での演奏を通じて、参加者は技術面だけでなく、精神面でも大きな成長を遂げることが期待される。
申込締切は9月10日(水)。
詳細はムジークキャンプ公式サイトで確認できる。将来のクラシック音楽界を担う若手演奏家にとって、世界レベルの指導を受けられる貴重な機会となりそうだ。