富山県、石川県、福井県で構成される北陸支部。全国大会での金賞こそ少ないものの、個性豊かな学校が多いのが特徴です。
今回は2025年度に開催される全日本吹奏楽コンクールを前に、近年全国大会等で顕著な実績を残している北陸支部の強豪校を10校紹介します。各校の特徴や強みにフォーカスし、強豪たるゆえんを深掘りしました。
高校生らしいフレッシュな名演とともに、ぜひ最後までお楽しみください。
富山県立富山商業高等学校(富山県)
最近5年の全国大会出場は、2021年(銀賞)、2023年(銀賞)、2024年(銀賞)。(2020年はコロナ禍につき大会中止。)全国大会通算34回出場(北陸支部最多)という圧倒的な実績を誇る、北陸随一の名門バンドです。
2024年の自由曲は歌劇「トゥーランドット」を選曲。持ち前の重厚な響きで物語性豊かな演奏を披露しました。銀賞ではありましたが、美しいサウンドが多くの聴衆の心を震わせました。
初出場は1960年と歴史も古く、創部以来一貫して高いレベルを維持してきました。マーチングコンテストでも全国常連。アンサンブルコンテストや野球応援など、活動の幅広さも強みです。部員数の多さと伝統に裏付けされた安定したサウンドが最大の持ち味で、演奏技術と表現力の双方で高く評価されています。その存在感は「北陸の横綱」にふさわしいと言えるでしょう。
富山県立高岡商業高等学校(富山県)


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最近5年の全国大会出場は、2022年(銀賞)。全国大会には30回以上の出場経験があり、過去には金賞も受賞したことがある強豪校です。
2008年~2016年にはほぼ毎年全国大会に出場するという黄金期を築き、「高商サウンド」で全国の舞台を席巻しました。2022年には6年ぶりの全国大会復帰を果たし銀賞を受賞。交響詩「ローマの祭り」を自由曲に選び、ダイナミックな演奏で観客を沸かせました。
豊かな響きと高いエンターテイメント性が強みのバンドです。重厚なブラスセクションに加え、ポップスやジャズアレンジにも対応できる柔軟さを持ち合わせます。近年は全国大会から遠ざかっていましたが、再びその名を轟かせつつあり、地元ファンからの期待も大きい強豪校です。
石川県立金沢桜丘高等学校(石川県)


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最近5年の全国大会出場は、2022年(銀賞)、2023年(銅賞)。全国大会には通算5回出場経験があり、2001年以降は北陸大会常連校として名を馳せる名門校です。
寄島昭生先生が顧問に就任した2022年と翌2023年に連続して全国大会に出場。2022年は自由曲にバレエ音楽「ガイーヌ」を選曲しました。続く2023年もバレエ音楽「眠れる森の美女」で高度な表現に挑戦し、全国の強豪校がひしめく中で石川県勢として存在感を示しました。
難易度の高い大編成交響作品にも積極的に挑戦し、自分たちの響きを追求するバンドです。透明感ある上品なサウンドと高度な表現力が、同校の強みと言えるでしょう。2024年夏の石川大会では惜しくも北陸大会への代表選出を逃しましたが、その悔しさをバネにさらなる飛躍が期待されます。
金沢学院大学附属高等学校(石川県)


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最近5年の全国大会出場は、2024年(銅賞)。北陸代表に選ばれて初めて全国大会へ進出しました。自由曲にはラヴェル「スペイン狂詩曲」を選曲し、情熱的なスペインの響きを躍動感たっぷりに表現しました。
マーチング分野での実績もあり、リズム感と機動力に優れたバンドです。また、サックス四重奏が日本ジュニア管打楽器コンクールで活躍するなど、アンサンブル面も注目を集めています。
エネルギッシュなサウンドと、マーチング仕込みの正確なリズム感が同校の持ち味。部員たちの士気も高く、今後の活躍に注目が集まります。
石川県立小松明峰高等学校(石川県)


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直近5年では全国大会に出場していないものの、北陸を代表する実力校の一つ。2009年に全国大会初出場で金賞を受賞して全国デビューを飾りました。2018年の全国銅賞以降は全国の晴れ舞台から遠ざかっていますが、北陸大会では上位をキープし続けています。
重厚かつ精巧なサウンドが特徴で、レスピーギやシェーンベルクなど海外作品の難曲に取り組むことが多く、独自の音楽性を追求しています。定期演奏会のライブ配信など新しい試みにも積極的で、ファンからの支持も厚い強豪校です。
音楽的センスが高く、表現の練り込みも丁寧で、作品の本質に迫る演奏を追求する姿勢が印象的。全国の舞台復帰が期待される北陸屈指の名門校と言えるでしょう。
小松市立高等学校(石川県)


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最近5年は全国大会に出場していません。しかしながら、2019年に念願の初全国大会出場を果たし(銅賞受賞)、悲願を達成したバンドです。
2019年全国大会では自由曲にアッペルモント「ブリュッセル・レクイエム」を選曲。繊細かつ大胆な表現で会場を沸かせました。音色の美しさと現代曲への積極的な取り組み姿勢が際立ち、再び全国を狙える実力校として注目されています。
芸術コースを併設する公立校ならではの専門性の高い音楽教育が強みのバンド。音楽専攻の生徒が多数在籍し、ピアノ・声楽・管楽器など専門分野ごとの研鑽を積める環境で独自のサウンドを育んでいます。意欲的に新傾向の曲に挑むなど研究熱心で、北陸の中でも個性的なカラーを放つ存在です。
福井県立武生商工高等学校(福井県)


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最近5年の全国大会出場は、2021年(銅賞)。福井県勢として久々の全国大会出場を果たしました。近年、北陸大会では常に上位に名を連ねており、安定感あるサウンドと集中力の高い演奏に定評があります。2023年の北陸大会では惜しくも代表を逃したものの、金賞を獲得しました。
武生商工高等学校は、2020年4月に武生工業高等学校と武生商業高等学校が統合されて誕生しました。堅実でまとまりのあるアンサンブルが武生商工の持ち味。バランス感覚に優れ、どの楽器も役割を全うする堅実さが光ります。
地域の期待を背負い全国に挑戦し続ける、そのひたむきな姿勢もまたこの学校の強さと言えるでしょう。今後の活躍に注目が集まります。
北陸学園北陸高等学校(福井県)


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直近5年では全国大会に出場していません。しかしながら、福井県大会では10年以上連続して金賞を受賞しており、北陸大会の常連校として知られます。
2024年北陸大会では重厚なブラスの響きとアンサンブルの美しさで聴衆を魅了。銀賞を獲得しました。また、全日本高等学校吹奏楽大会in横浜に参加するなど、コンクール以外の舞台でも活躍の幅を広げています。
音色のバランスが良く、どの曲でも説得力ある演奏を聴かせます。一音一音を丁寧に積み上げるスタイルで着実にレベルアップを続けていることから、初の全国切符を手にする日も近いかもしれません。
福井工業大学附属福井高等学校(福井県)


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最近5年では全国大会に出場していないものの、県内で近年力を伸ばしているバンドの一つです。全国大会の出場経験こそまだありませんが、北陸大会にはこれまで10回以上出場。2022年〜2024年の北陸大会では3年連続で銀賞を獲得しています。
明るく伸びやかなサウンドと若々しい表現力が持ち味。自由曲は幅広いジャンルに果敢に挑戦しています。
音楽面では、また学校のバックアップも手厚く、楽器の充実や外部講師招聘など恵まれた練習環境も強みと言えるでしょう。今後、北陸を代表するバンドへと飛躍する可能性を秘めた注目校です。
石川県立金沢龍谷高等学校(石川県)


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最近5年では全国大会に出場していません。しかしながら、2024年の北陸大会では見事金賞を受賞し、全国大会まであと一歩のところまで迫りました。県大会止まりの年もあったなかで、近年急速に実力を伸ばしてきている新進気鋭のバンドです。
2024年には高昌帥「ウインド・オーケストラのためのバラッド」を自由曲に選び、豊かな響きで会場を魅了しました。
部員同士の息の合ったアンサンブルと、曲想を大切にする音楽表現が強み。近年は指導体制の充実も相まって急速に力をつけており、新たな強豪校として台頭してきました。その成長ぶりに、北陸の吹奏楽ファンから熱い視線が注がれています。
北陸支部は全国大会での金賞数こそ多くはありませんが、各校がコンクール以外の分野でも豊かな成果を収めており、その魅力の奥深さは折り紙付き。音楽の持つ多様性や可能性を感じさせてくれる、素晴らしいエリアと言えます。
今年もこれらの強豪校が、きっと新たな発見と感動をもたらしてくれることでしょう。全日本吹奏楽コンクールでは、北陸支部の強豪校にぜひ注目してみてくださいね!