ベルギー・ブリュッセルで開催中のエリザベート王妃国際音楽コンクール2025(ピアノ部門)で、5月17日深夜(現地時間)までのセミファイナル審査を経て決勝進出者12名が発表された。このうち、日本人ピアニストが4名も名を連ねるという快挙を成し遂げ、国内外で大きな注目を集めている。
日本人4名が決勝へ!コンクール史上異例の快挙
今回、決勝進出という栄誉を手にした日本人ピアニストは、亀井聖矢、桑原志織、久末航、吉見友貴の4名だ。ファイナリスト12名中、国別で最多の人数となり、一国から4名もの進出は同コンクール史上でも異例の快挙と言える。この結果は、日本の若手ピアニストたちの実力が世界レベルであることを改めて示すものだ。
緊迫の決勝ウィーク、新作課題曲と協奏曲で競う
セミファイナルを通過した12名は、決勝までの約1週間をベルギー王立エリザベート音楽院(音楽礼拝堂)に滞在し、外部と隔離された環境で、ベルギー人作曲家クリス・デフォートによるピアノと管弦楽のための新作課題曲《Music for the Heart》の準備に臨む。(この課題曲は5月26日に世界初演となる。)
ファイナル本番は5月26日から31日にかけてブリュッセル芸術宮(パレ・デ・ボザール)で開催され、各日2名ずつ計12名のファイナリストがこの新作課題曲と、各自が選択した協奏曲を披露する。
共演オーケストラは、大野和士が指揮するブリュッセル・フィルハーモニック。最終日の全演奏終了後、現地5月31日深夜(日本時間6月1日早朝)に順位発表・表彰式が行われる予定。
国際色豊かなファイナリストと注目株
決勝には、日本人4名のほか、フランス、ベルギー、米国、中国、ロシア、オランダからの才能が集結した。計7か国、男性7名、女性5名という国際色豊かな顔ぶれでだ。
地元ベルギーから唯一ファイナルに残ったヴァレール・ビュルノンは、名前が呼ばれた瞬間に会場から大きな歓声が上がるなど、開催国の期待を一身に背負っている。 また、ファイナリストの中には既に国際コンクールで実績を持つ実力派が多く、高レベルな戦いが予想される。
フランス代表のナタリア・ミルスタインは2015年ダブリン国際ピアノコンクール優勝の経歴を持ち、最年長組の29歳として円熟の演奏が期待される。
日本人勢も世界で頭角を現しており、亀井聖矢(23歳)は2022年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで優勝(聴衆賞・批評家賞も受賞)、桑原志織(30歳)も2019年ブゾーニ国際コンクールおよび2021年アルトゥール・ルビンシュタイン国際コンクールでいずれも第2位に輝いている。
このような錚々たるメンバーがひしめく決勝は、近年まれに見る熱戦となりそうだ。