第19回ショパン国際ピアノコンクール本大会出場者決定と概要
第19回ショパン国際ピアノコンクール(2025年10月開催)の本大会出場者85名が発表された。日本からは13名が選出されており、参加国は20か国に及ぶ。予備予選免除規定の変更も相まって世界各地から実力者が集い、例年以上に国際色豊かでハイレベルな顔ぶれとなっている。
設立100周年を迎えるショパン国際ピアノコンクール:その歴史と意義
ショパン国際ピアノコンクールは1927年に創設され、5年ごとにポーランド・ワルシャワで開催される世界有数のピアノ競技会である。参加者はショパンの作品のみで腕を競い、入賞は若手ピアニストにとって世界的な活躍への登竜門と位置付けられている。
2025年の第19回大会はコンクール創設100周年の節目にあたり、国内外から大きな注目を集めている。
過去最多642名の応募:予備予選と本大会出場者決定
第19回大会には過去最多となる642名の応募があり、その音源審査を経て171名が予備予選(2025年4月23日~5月4日開催)に招待された。12日間にわたる演奏審査の結果、審査委員長ピオトル・パレチニ氏率いる審査団が66名の本大会出場者を選出した。
さらにリーズ、ルービンシュタイン、マイアミ、ボルツァーノ、浜松、ビドゴシチ(パデレフスキ)、ワルシャワ(ショパン国際ピアノコンクール国内大会)といった主要コンクールの入賞者19名が予備予選免除で一次予選からの出場資格を得ており、これらを合わせた85名が2025年10月の本大会で競うことになる。
第19回本大会のスケジュールと賞について
本大会は2025年10月2日にワルシャワで公式開幕し、翌10月3日から一次予選の演奏審査が開始される。一次・二次・三次予選を通じて参加者を絞り込み、最後に本選(ファイナル)として残った数名がオーケストラと協奏曲を演奏する最終審査が行われる予定だ。
最終結果の発表は10月20日夜、翌10月21日にワルシャワ国立大劇場で表彰式およびガラコンサートが開催され、優勝者には金メダルと賞金6万ユーロが授与される。
また例年、大会終了後には入賞者による世界各地でのコンサートツアーが予定されており、今回も受賞者は欧州・アジア・米国を巡る演奏会に参加する見込みである。
第19回大会の注目ポイント
出場者の国籍
今回発表された85名の出場者は世界20か国から選ばれており、国別では中国が最も多く、次いで日本、ポーランドと続く。近年はアジア勢の台頭が著しく、今回も中国や日本を中心に若手ピアニストが多数名を連ねた。
一方で欧米各国からも有望な奏者が集結しており、文字通り世界規模のコンペティションとなっている。
免除規定の変更
特筆すべきは、予備予選免除規定の緩和による影響である。今大会では免除対象となる「大規模国際コンクール」の実績について“直近の開催回に限らない”方針に改められ、過去の主要コンクール入賞者にも参加資格が開かれた。
その結果、例えば2018年リーズ国際コンクール優勝者のエリック・ルー(アメリカ)や2023年ルービンシュタイン国際コンクール優勝者のケヴィン・チェン(カナダ)といった、少し前の大会で頭角を現した実力者も続々とエントリーしている。
主要コンクール上位入賞者が揃ったことにより、一次予選から極めてハイレベルな戦いが繰り広げられることが予想される。
日本人出場者
日本人出場者13名にも大きな期待が寄せられている。今回、日本勢は最年少15歳の中島結里愛から20代後半の実力派まで幅広い年齢層が揃った。予備予選を勝ち抜いた小野田有紗や山﨑亮汰といった経験豊富な若手に加え、島田隼など新鋭の名も見られる。
さらに、浜松国際ピアノコンクール第2位の牛田智大、アルトゥール・ルービンシュタイン国際コンクールおよびブゾーニ国際ピアノコンクールで第2位に輝いた桑原志織、リーズ国際ピアノコンクール第2位の小林海都の3名は、上述の規定変更により予備予選を免除され本大会出場を決めた実力者である。
このように国内外で実績を積んだ注目の日本人ピアニストたちが、ショパンの故国ポーランドでどのような演奏を繰り広げるのか、大きな注目が集まっている。