2025年1月13日(月・祝)横須賀芸術劇場小劇場 ヨコスカ・ベイサイド・ポケットにて行われた「第15回東京ピアノコンクール」一般A部門において第1位、最優秀賞、スペイン音楽賞を受賞された浅野さん。
今回は同コンクールや音楽コンクールに挑戦される方へ向け、お話を伺いました。

取材・文|編集部
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プロフィール

浅野由紀 Instagram
愛知県一宮市出身。
愛知県立明和高校音楽科、東京藝術大学を経て、2025年3月東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。
ソロ活動の他、小学校などでのアウトリーチ活動や、親子向けコンサートの自主公演などにも積極的に取り組んでいる。 これまでに、川合見幸、関本昌平、奥村真、杉浦日出夫、本村久子、東誠三の各氏に師事。
2024年度公益財団法人山田貞夫音楽財団奨学生。
趣味・特技
趣味は料理と公園を散歩すること。
受賞歴
第15回東京ピアノコンクール一般A部門 第1位、最優秀賞、スペイン音楽賞を受賞。
日本クラシック音楽コンクール全国大会高校の部、大学の部ともに最高位受賞。
大阪国際音楽コンクールAge-H、U部門エスポアール賞。
田中祐子氏指揮・名古屋室内管弦楽団と共演。
東京ピアノコンクールを終えて

ーーコンクール、お疲れさまでした。コンクールを終えて今現在のお気持ちをお聞かせください。
浅野
この度は、第1位及びグランプリ、スペイン音楽賞をいただき、大変光栄に思っております。
いつもあたたかく指導してくださる先生や日頃から沢山応援してくれている家族に感謝の想いでいっぱいです。
ーー練習をするにあたって、どのようなことに気を付けましたか?
浅野
今回はスペインの作曲家、グラナドスの「ゴイェスカス」より愛と死を演奏しました。
この楽曲は全体を通して男女の愛の物語がテーマとなっており、また至るところに舞踊の要素を取り入れていたりと、スペインの情緒溢れる曲となっています。
あまり演奏される機会は少ない曲のため、初めて曲を聴く方にとっても、グラナドスの魅力を音を通じて共有できればと思い、それぞれの場面における明確な対比や適した音質をよく考えながら音楽を作っていきました。
ーーコンクール準備期間にこころがけたことは何かありますか?
浅野
締切ギリギリにコンクールの存在を知り、急遽慌てて予選に提出する録音を撮りに行きました。
予選はドビュッシー、本選はグラナドスと異なる曲を演奏しました。
特に本選のグラナドスは大学院での修士論文のテーマにもしており、思い入れが強かった為、様々な本や記事も読みながら、どうすれば作曲家の意図に沿った音色や曲想が表現できるかを考えながら一音ずつの鍵盤への触れ方やルバートのかけ方などを模索していました。
ーーなぜこのコンクールに挑戦しようと思われましたか?

浅野
人前で演奏する機会を作りたいと思い、コンクールを調べていたところ、ネットでたまたま見つけて、すぐに応募しました。
自由曲ということで自分の好きな曲で出られることも、このコンクールに挑戦した理由の一つです。
ーー本番を迎えた当日のお気持ちをお聞かせください。
浅野
初めて演奏するホールでしたが、私の師事している先生が以前ご自身の演奏会で演奏されていたホールで、私も聴きに行っていたので、尊敬する先生と同じホールで弾けることが嬉しかったです。
かなり緊張もありましたが、ただこの曲の魅力を伝えたいという一心で演奏しました。
反省点もありますが、弱音がとても美しく響くホールで弾いていて心地良かったです。
ーー東京ピアノコンクールに挑戦する方へのメッセージをお願いします。
浅野
予選はさまざまな国の審査員の先生方から細かな講評がいただけるため、とても勉強になりました。
本選では、表彰式で審査員の先生がお話されていた講評がとても素晴らしく、特に音楽に対する心の向き合い方のお話は、悩んでいた私の心に大変響き、思わず涙が出てきました。
そのお言葉を聞いて、素敵な音楽に出会えて今日まで演奏ができていること、それを聴いてくださる方がいることがどれほど幸せなことで、また純粋に音楽を愛する心がどれほど大切なのかを改めて実感し、自分を見つめ直す機会となりました。
スタッフの方々や審査員の先生方、またコンクールの雰囲気もあたたかく、表彰式では年齢の離れた参加者の方が話しかけてくださり、とても嬉しかったです。
是非素敵なホールの響きを楽しんでいただけたらと思います。
ーーー今後の目標などをお聞かせください。
浅野
まずは、もっと曲のレパートリーを増やしていき、より沢山の方に様々な時代のクラシック音楽の魅力を伝えていけるよう、頑張っていきたいです。
今回演奏したグラナドスについても更に研究していきたいと思っています。
また、何よりこれからも純粋に音楽への愛を持ち続けていきたいです。周りの方々への感謝を忘れず、社会の為に自分が音楽を通してどのように貢献できるのか日々模索しながら、真摯に音楽と向き合っていきたいと思います。
音楽に真摯に向き合う姿勢や、先生やご家族への感謝の想い。そしてグラナドスの作品を通じて丁寧に表現を追求される姿や、純粋に音楽を愛する気持ちがとても印象的でした。本番でのエピソードにも、胸が温かくなりました。これからも多彩なレパートリーに挑戦しながら、音楽の素晴らしさをより多くの方々に届けてくださることを心から応援しています。貴重なお話をお聞き出来て嬉しく思います。お忙しいところ、ありがとうございました。
●2026年1月12日(月祝)
第15回東京ピアノコンクール最優秀賞受賞者演奏会に出演させていただきます。
また横須賀市で演奏させていただけることをとても嬉しく思っております。
会場の周辺は素敵な景色や美味しいご飯がいっぱいです。
是非、お気軽にお越しいただけますと嬉しいです。
皆様にお会いできることを楽しみにしております♪
浅野由紀
第15回東京ピアノコンクールの概要については下記をご覧ください。
第15回東京ピアノコンクールの結果については下記をご覧ください。