毎日新聞社とNHKが主催する第94回日本音楽コンクールの本選会が10月22日から27日にかけて東京オペラシティで開催され、全6部門の受賞者が出揃った。日本の若手音楽家の最高峰の登竜門として知られる同コンクールは、今年は作曲、声楽、オーボエ、ピアノ、バイオリン、フルートの各部門で熱戦が繰り広げられた。
本選の模様は11月中旬からNHK-FMで放送され、らじる☆らじるでの聴き逃し配信も予定されている。
作曲部門は徳田旭昭が第1位、広島大大学院在学中
10月22日に行われた作曲部門本選では、徳田旭昭さん(26、広島大大学院)の「Baroque Grid Ⅳ」が第1位に選ばれた。岡山県出身の徳田さんは、6歳で初めて作曲に取り組んで以来、島根大、岡山大大学院で音楽教育と作曲を学び、現在は広島大大学院でさらに研鑽を積んでいる。2025年にはルクセンブルク国際作曲コンクールでも第2位を受賞するなど、国際的にも評価を得ている若手作曲家だ。
第2位は岡田幸世さん、第3位は鈴木千遥さんが受賞した。作曲部門の録音は11月24日(月・休)19時35分からNHK-FMで放送される。
声楽部門は砂田愛梨、オーボエは山田涼子が頂点
10月23日の声楽部門本選では、ソプラノの砂田愛梨さん(34、東京音楽大学大学院修了)が第1位と岩谷賞(聴衆賞)をダブル受賞した。静岡県富士市出身の砂田さんは、東京音楽大学付属高校を最優秀賞で卒業し、第22回東京音楽コンクールで第2位を獲得するなど、着実にキャリアを積み重ねてきた実力派だ。
第2位はバリトンの伊藤尚人さん(28)、第3位はソプラノの川越未晴さん(32)が入賞した。
翌24日に行われたオーボエ部門本選では、山田涼子さん(29、東京藝術大学大学院修了)が第1位を獲得した。茨城県出身で、8歳から吹奏楽でオーボエを始めた山田さんは、東京藝術大学を首席で卒業し、安宅賞、アカンサス音楽賞、三菱地所賞を受賞。現在は同大学の藝大フィルハーモニア管弦楽団で演奏講師を務めている。
第2位は江波戸大樹さん(24)で、岩谷賞(聴衆賞)も受賞した。第3位は岡村彩香さん(31)が入賞した。
ピアノ部門は加藤皓介、バイオリンは中谷哲太朗
10月25日のピアノ部門本選では、加藤皓介さん(19、桐朋学園大学1年)が第1位と岩谷賞(聴衆賞)をダブル受賞した。2006年生まれの加藤さんは、全日本学生音楽コンクール小学校の部で第1位を獲得し、2025年のピティナ特級では銅賞に輝くなど、若くして実績を積み重ねてきた。初出場での優勝に「全く想像していなかった。今も実感が湧かない」と喜びを語った。
第2位は中瀬智哉さん(19、桐朋学園大学2年)、第3位は国本奈々さん(21、東京音楽大学3年)が受賞した。
10月26日に行われたバイオリン部門本選では、中谷哲太朗さん(16、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校2年)が第1位と岩谷賞(聴衆賞)をダブル受賞した。横浜市栄区在住で2009年生まれの中谷さんは、3歳からバイオリンを始め、第77回全日本学生音楽コンクール中学生部門で全国大会第1位に輝いた経歴を持つ。
第2位は松木翔太郎さん、第3位は荻原緋奈乃さんが入賞した。
フルート部門は福田京、愛知県立芸大大学院が制す
最終日の10月27日に行われたフルート部門本選では、福田京さん(23、愛知県立芸術大学大学院)が第1位と岩谷賞(聴衆賞)をダブル受賞し、6部門すべての頂点が決定した。福田さんは2025年8月に開催された第22回日本フルートコンヴェンションコンクール・ソロ部門で第2位を受賞するなど、勢いに乗っての優勝となった。
第2位は藤枝麻里花さん、第3位は榛葉心梨さんが受賞した。
NHK-FMで11月に本選を放送、らじる☆らじるで無料配信
本選会の模様は、11月17日(月)から21日(金)にかけて、NHK-FMラジオで連日19時35分から21時15分まで放送される。放送予定は、17日が声楽部門、18日がオーボエ部門、19日がピアノ部門、20日がバイオリン部門、21日がフルート部門。
作曲部門の録音は11月24日(月・休)に放送される。いずれもらじる☆らじるでの同時配信と聴き逃し配信が行われる予定で、全国どこからでも無料で視聴可能だ。
また、12月中旬にはNHK Eテレでドキュメンタリーが、12月にはNHK BSの「クラシック俱楽部」でも本選の模様が放送される予定となっており、多様な視聴機会が用意されている。
日本音楽コンクールは、毎日新聞社とNHKが主催し、三井物産、岩谷産業、INPEXが協賛する、若手音楽家の登竜門として1932年から続く歴史あるコンクール。
過去には、反田恭平(ピアノ、第81回)、鈴木愛美(ピアノ、第92回)など、現在第一線で活躍する音楽家を数多く輩出してきた。第94回を制した新星たちの今後の活躍が期待される。


