ピティナ特級2025最終決戦へ

ピティナ特級2025最終決戦へ:ニュース

第49回ピティナ・ピアノコンペティション特級のセミファイナルが8月19日、第一生命ホールで行われ、4名のファイナリストが決定した。8月22日午後4時30分からサントリーホールで開催される最終決戦は、YouTubeでの無料ライブ配信も実施される。

阪田知樹・角野隼斗に続く才能が集結

今回ファイナル進出を果たしたのは、加藤皓介(桐朋学園大学1年)、高見真智人(東京音楽大学大学院1年)、津野絢音(東京音楽大学4年)、稲沢朋華(桐朋学園大学4年)の4名。いずれも現役大学生という若さながら、すでに国内外のコンクールで実績を重ねている注目の奏者だ。

ピティナ特級からは、これまでに阪田知樹、篠永紗也子、角野隼斗、亀井聖矢、尾城杏奈、野村友里愛、北村明日人、鈴木愛美、南杏佳らが巣立ち、国際コンクールでも活躍する演奏家として成長を遂げている。

全員が大学生、若き才能の競演

いずれも現役大学生という若さが際立つ顔ぶれとなった。

加藤皓介は2006年生まれの東京都出身で、桐朋学園大学1年に特待生として在学中。全日本学生音楽コンクール小学校の部全国大会第1位、中学校の部全国大会第2位の実績を持つ。ファイナルではベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」で挑む。

高見真智人は愛知県出身で東京音楽大学大学院1年。今年のドビュッシー国際ピアノコンクールで第1位・グランプリを獲得した実力者で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を選択した。

ベートーヴェン2作品が激突の構図

注目すべきは選曲の傾向だ。加藤と稲沢がベートーヴェンの協奏曲を選択し、加藤が第5番「皇帝」、稲沢が第3番ハ短調という同一作曲家での対決となる。一方、高見はチャイコフスキー第1番、津野はラフマニノフ第2番と、ロマン派の人気作品で臨む構図となった。

津野絢音は8月20日に誕生日を迎えたばかりで、「周りの方々への感謝、音楽に対する自分の思いを乗せて演奏したい」とコメント。稲沢朋華は「皆さんと素敵な夏の終わりを迎えたい」と意気込みを語っている。

YouTube無料配信で全国から応援可能

ファイナルは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、指揮者大井剛史との共演で行われる。YouTubeでのライブ配信により、全国のクラシックファンが無料で視聴可能だ。審査結果発表は午後8時10分から予定されている。

演奏順は、午後4時30分から加藤皓介、午後5時15分から高見真智人、午後6時10分から津野絢音、午後6時50分から稲沢朋華の順で行われる。

クラウドファンディング400万円目標で支援拡大

今年のピティナ特級では、READYFOR上でのクラウドファンディングが実施されており、第一目標200万円をすでに達成し、現在第二目標400万円に挑戦中だ。支援金は「オンライン聴衆賞」として上位入賞者に分配されるほか、全国各地での入賞者記念コンサート開催や海外マスタークラス派遣などの活動サポートに活用される。

2024年度は32公演・17地域(うち海外1カ国)にピアニストを派遣し、地域の子どもたちとの交流機会を創出。特級グランプリの南杏佳による大阪での凱旋公演なども実現している。

セミファイナルでは根岸宏輔作曲の新作「第三法則の庭」も披露され、現代音楽への取り組みも評価された。22日のファイナルでは、4名の若きピアニストが日本ピアノ界の頂点を目指して熱戦を繰り広げる。