第5回 Shigeru Kawai国際ピアノコンクール、スペインの17歳ギジェルモが第1位受賞

第5回 Shigeru Kawai国際ピアノコンクール、スペインの17歳ギジェルモが第1位受賞:ニュース

8月2日(土)、渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」で開催された第5回 Shigeru Kawai国際ピアノコンクールにおいて、スペインのギジェルモ・エルナンデス・バロカル(17歳)が第1位を獲得した。同時に聴衆賞も受賞し、若干17歳での快挙を成し遂げた。日本勢も健闘し、上位6名中3名が日本人という結果となった。

世界22カ国・地域から324名がエントリーした本コンクールは、河合楽器製作所が主催する国際的なピアノコンクールとして回を重ね、今回で5回目を迎えた。審査委員長の植田克己氏のもと、厳正な審査が行われた結果、次世代を担う若きピアニストたちの才能が開花した。

史上最年少優勝者の誕生

ギジェルモ・エルナンデス・バロカル

優勝したギジェルモ・エルナンデス・バロカルは2008年生まれの17歳。これまでにも2019年ペルニク国際ピアノコンクールで第1位・審査員賞、2021年若い演奏家のコンクールで第1位、2023年ハエン・ショパン・ピアノコンクール カテゴリー2(12-15歳の部)で第2位入賞など、輝かしい受賞歴を誇る。

受賞コメントで彼は「第1位に選ばれたときは満足感・喜び・感謝の気持ちでいっぱいになりました。このコンクールに参加できたこと、そしてコンクールの関係者の皆様、私の家族・友人・先生にお礼を申し上げたいと思います」と語った。

また、使用楽器についても「私は『Shigeru Kawai』を信頼しています。天候や会場に左右されず、どこでも安定した音を出せる。まるで旧友のように親しみやすい存在です。そして音色、特に甘くて優しい音が大好きです」と、SK-EXフルコンサートピアノへの愛着を示した。

大山桃暖が第2位、朴沙彩が第3位で日本人上位入賞果たす

日本勢最高位となる第2位には、大山桃暖(19歳)が入賞した。2005年大阪府堺市出身の大山は、現在大阪音楽大学ピアノ演奏家特別コース2年に在学中。ジュニア時代から頭角を現し、数々のコンクールで実績を積んできた実力派ピアニストだ。

第3位には朴沙彩(19歳)が入賞。2006年生まれの朴は桐朋女子高等学校音楽科に在学中で、2023年第92回日本音楽コンクールで第3位と三宅賞を受賞するなど、既に国内外で注目を集める若手ピアニストの一人だ。

2021年には第75回全日本学生音楽コンクール中学の部で東京大会及び全国大会第1位を獲得し、野村賞、井口愛子賞、福田靖子賞を同時受賞するなど、輝かしい実績を持つ。

山本悠流も第4位入賞、日本勢がファイナル6名中3名占める

第4位には山本悠流(25歳)が入賞し、日本人受賞者は計3名となった。東京藝術大学修士課程に在学中の山本は、ピティナ特級グランプリなど国内での実績を重ね、今回の国際舞台でも実力を発揮した。

ファイナル進出者6名中3名を日本人が占めるという結果は、日本のクラシック音楽教育の高さと若手ピアニストたちの技術向上を示すものとして注目される。残る入賞者は第5位ラファエル・キリチェンコ(ポルトガル・29歳)、第6位ピエトロ・フレサ(イタリア・25歳)となった。

YouTube公式配信で無料視聴、録画でも全演奏振り返り可能

本コンクールは1次予選からファイナルまで全ラウンドがSKIPC公式YouTubeチャンネルでライブ配信された。

現在も録画が公開されており、ファイナリストたちの渾身の演奏を改めて鑑賞することが可能だ。特にファイナルでは各出場者がオーケストラとの協奏曲を披露し、SK-EXフルコンサートピアノの豊かな響きと共に、圧倒的な技術と音楽性を披露した。

優勝者に賞金200万円とコンサート出演機会を授与

優勝したギジェルモ・エルナンデス・バロカルには賞金200万円が授与されるほか、副賞として受賞から1年間にわたって河合楽器製作所主催のコンサートやリサイタルなどへの出演機会が与えられる。これにより、国際的な演奏活動の場が提供され、さらなる飛躍が期待される。

また、第1位から第6位までの入賞者は8月3日(日)にカワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」で開催された入賞者演奏会に出演し、受賞の喜びを聴衆と分かち合った。

審査委員長植田克己氏「レベルの高さに審査が困難」と総評

審査委員長を務めた植田克己氏は総評で次のように述べた。「このコンクールは、現在世界各地で評価を高めつつあるShigeru KawaiフルコンサートピアノSK-EXをどのように活かして日頃の修練の成果を発揮できるかが問われるコンクールです。予備予選から若人たちの演奏に触れて、レベルの高さを実際に目の当たりにし、審査するのに大変苦労いたしました」

さらに「許されるならばもっと多くの若い人たちの演奏を聴きたいと、どのセレクションでも思ったことであります。若きピアニストの皆様のこれからの活躍と成長、更なる前進をお祈りいたします」と、出場者全員への労いと期待の言葉を贈った。

次回開催に向けた期待と若手ピアニスト育成への取り組み

今回のコンクールでは、特に日本人若手ピアニストの躍進が目立った。大山桃暖、朴沙彩、山本悠流の3名がそれぞれ異なる音楽的背景を持ちながらも、高い技術力と表現力を発揮し、国際的な舞台で実力を証明した。

河合楽器製作所では、このコンクールを通じて「次世代を担うピアニストを世界各地から発掘・育成するとともに、国際交流の推進や世界の音楽文化の振興」を目指している。今回の成功を受け、次回開催への期待も高まっている。

若きピアニストたちの更なる飛躍と、クラシック音楽界の発展に向けた取り組みが、このコンクールを通じて着実に実を結んでいることが改めて確認された大会となった。