【9月公開】映画「ピアノフォルテ」で知るショパンコンクール舞台の裏側

ピアノフォルテ:ニュース

世界最高峰のピアノコンクールとして知られるショパン国際ピアノコンクールが、今年2025年10月3日から20日まで(オープニングは10月2日)、ポーランドの首都ワルシャワで開催される。

その開催を前に、2021年の第18回大会を追ったドキュメンタリー映画「ピアノフォルテ」が9月26日より全国公開されることが決定した。日本人として16年ぶりの同時入賞を果たした反田恭平と小林愛実の快挙を記録したこの作品は、2025年大会への期待を高める絶好の機会となりそうだ。

映画『ピアノフォルテ』予告
映画「ピアノフォルテ」予告

世界最古にして最高峰の舞台の重圧と栄光

1927年に第1回が開催されたショパン国際ピアノコンクールは、世界最古の国際ピアノコンクールとして、96年の歴史を誇る。

5年に1度開催されるこの大会は、スタニスワフ・ブーニン、マルタ・アルゲリッチらを輩出し、「出場するだけで名誉、入賞すればその後の成功が約束される」と言われる随一のコンクールだ。

映画「ピアノフォルテ」では、このとてつもない重圧の中で戦う若きピアニストたちの姿が克明に描かれている。

ポーランド、ロシア、中国、イタリアなど異なる国籍の6人の出場者を追い、緊張に押し潰されそうになる者もあれば、そのプレッシャーを力に変える者もいる人間ドラマが展開される。

18日間・全4回審査の過酷な戦いとは

ショパンコンクールの審査は、予備予選から本選まで全4回、本大会では18日間(10月3日〜20日)にわたって行われる過酷なものだ。

2025年大会では、予備予選(4月23日〜5月4日)で171名から85名に絞られ、10月の本大会では1次予選、2次予選、3次予選を経て、最終的に10名程度が本選に進む。

課題曲はすべてショパン作品で占められ、各段階で異なる楽曲の演奏が求められる。本選では協奏曲第1番または第2番を選択し、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団との共演で最終審査が行われる。

映画では、この長期間にわたる戦いの中で、出場者たちの心境がどのように変化していくかが丁寧に映し出されている。

日本人ピアニスト快挙の瞬間を完全収録

2021年の第18回大会で、反田恭平が2位、小林愛実が4位に入賞し、2005年の関本昌平・山本貴志以来16年ぶりとなる日本人同時入賞という快挙を成し遂げた。

コロナ禍により1年延期となった特別な大会で、2人がどのような思いで臨み、どのような演奏を披露したのか、その舞台裏が映画では余すところなく記録されている。

2025年大会でも日本から13名のピアニストが本大会に出場予定で、牛田智大、小林海都、桑原志織らが国際コンクール実績により予備予選免除で本大会出場が決定されるなど、日本勢の活躍が期待されている。

映画を通じて先輩たちの戦いぶりを見ることで、今年の日本人出場者たちへの応援にもより一層熱が入るだろう。

ポーランド映画初の国際エミー賞受賞の価値

「ピアノフォルテ」は、ポーランド映画として初めて国際エミー賞芸術番組部門最優秀賞を受賞した作品だ。ヤクブ・ピョンテク監督による繊細な演出と映像美は、単なるコンクールの記録を超えた芸術作品として高く評価されている。

89分の上映時間の中で、6人の出場者それぞれの背景、指導者との関係、家族への思いなどが丁寧に描かれ、最後にショパンの「ノクターン第8番」が流れる感動的なフィナーレまで、観る者の心を揺さぶる構成となっている。この国際的な評価は、作品の質の高さを物語っている。

2025年大会への期待を高める映画体験

「ピアノフォルテ」は9月26日より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開される。2025年のコンクール開催を約1ヶ月後に控えたこの時期の公開は、まさに絶妙なタイミングと言えるだろう。

映画を観ることで、ショパンコンクールの歴史と伝統、そこに挑む若きピアニストたちの情熱を深く理解できる。そして10月のワルシャワでの熱戦を、より深い感動とともに味わうことができるはずだ。世界中のクラシックファンが注目する2025年大会を前に、この珠玉のドキュメンタリーは必見の作品となっている。

映画「ピアノフォルテ」公式サイト