第9回仙台国際音楽コンクールピアノ部門で11歳の天野薫が3位に

© 仙台国際音楽コンクール(公式X投稿)
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6月28日、第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門(審査委員長:野平一郎)の審査結果が発表され、天野薫(11歳・小学6年生)が第3位に入賞し、同コンクール史上最年少入賞記録を樹立した。2013年生まれの天野は、国際的な権威あるコンクールでの入賞により、日本のクラシック音楽界に新たな歴史を刻むこととなった。

ファイナルで天野は、課題曲のモーツァルト ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467に加え、日本人作曲家・矢代秋雄のピアノ協奏曲を演奏。

特にモーツァルト作品では「真珠の粒のように美しく均一な音色」で透明感溢れる演奏を披露し、会場から大きな拍手を受けた。専門家からは「ピアノ学習者のお手本となる理想的な演奏」と高く評価されている。

 ロシア勢がワンツーフィニッシュで優勝・準優勝を独占

第1位にはエリザヴェータ・ウクラインスカヤ(ロシア、1996年生まれ)が輝いた。サンクトペテルブルク音楽院でアレクサンドル・サンドレルに師事する彼女は、ファイナルでチャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番を演奏し、「安定感のある端正で抒情性に満ちた演奏」で会場から歓声と大きな拍手を受けた。

第2位にはアレクサンドル・クリチコ(ロシア、2000年生まれ)が入賞。名教師パーヴェル・ネルセシアン、レナ・シェレシェフスカヤに師事する彼は、ファイナルでラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番を演奏し、「鮮烈な技巧に裏打ちされたエネルギー溢れる快演」を披露した。

5位入賞の島多璃音さんも注目、日本人2名が入賞果たす

島多璃音(2001年生まれ)が第5位に入賞し、日本勢として天野とともに入賞を果たした。現在フランスのリヨン国立高等音楽・舞踊学校で学ぶ島多は、ファイナルでリスト ピアノ協奏曲第1番を演奏し、「堂に入った力強い熱演で会場を大いに沸かせた」と評価された。

第4位にはユリアン・ガスト(ドイツ、1999年生まれ)、第6位にはヤン・ニコヴィッチ(クロアチア、2001年生まれ)が入賞した。

YouTube無料配信で全演奏を視聴可能、録画も期間限定公開

第9回仙台国際音楽コンクールでは、予選から表彰式、ガラコンサートまでの全演奏をYouTubeの公式チャンネルでライブ配信を実施。演奏日の翌日以降は期間限定でオンデマンド配信も行われており、無料で全演奏を視聴することができる。

配信では天野さんの各ラウンドでの演奏も収録されており、史上最年少入賞者の成長過程を追うことができる貴重な記録となっている。

審査委員奨励賞と聴衆賞の結果も発表

セミファイナルに出場しファイナル進出を逃した者のうち、注目すべき才能を示した出場者に贈られる審査委員奨励賞には、ペ・ジヌ(韓国、2001年生まれ)が受賞した。

また、セミファイナルの開催日ごとに聴衆の投票で決定する聴衆賞は、上位入賞者が受賞。6月20日にエリザヴェータ・ウクラインスカヤ、6月21日にアレクサンドル・クリチコ、6月22日に天野薫がそれぞれ受賞し、聴衆からの支持の高さを示した。

第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門 最終結果

第1位:エリザヴェータ・ウクラインスカヤ(ロシア)
第2位:アレクサンドル・クリチコ(ロシア)  
第3位:天野薫(日本)
第4位:ユリアン・ガスト(ドイツ)
第5位:島多璃音(日本)
第6位:ヤン・ニコヴィッチ(クロアチア)

優勝者のエリザヴェータ・ウクラインスカヤは、2025年冬に東京・浜離宮朝日ホールでの優勝記念リサイタルに出演予定。また、仙台でのリサイタルも来春開催される予定となっている。