日本勢6名が全員通過、注目のセミファイナル進出者発表
ベルギーのブリュッセルで開催中のエリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門は、6日間にわたる第1次予選(5月5~10日)を経て、5月10日深夜(日本時間11日未明)にセミファイナル進出者24名を発表した。
この中には出場した日本人ピアニスト6名全員が含まれており、 日本勢は全員が狭き門を突破した。
世界屈指の伝統と権威を誇るコンクールの概要
エリザベート王妃国際音楽コンクールは1937年創設の由緒あるクラシック音楽コンクールであり、毎年部門を変えて開催される。
今年は第21回目のピアノ部門で、世界各国から289名の応募者から60名が選出され、5月5日から第1次予選が行われた。同コンクールは「最も権威と難易度の高い国際音楽コンクールの一つ」として知られ、優勝者をはじめ入賞者には国際的な活躍への登竜門となっている。
ピアノ部門は前回2020年開催予定が翌年に延期され、無観客で開催した経緯があり、本年は4年ぶりに通常開催となった。
セミファイナル・ファイナルの演奏内容と開催日程
セミファイナルは24名が進出。5月12日から17日までブリュッセルのフラジェ・スタジオ4で行われ、各日午後3時と8時に2名ずつ出演する。
セミファイナリストはモーツァルトのピアノ協奏曲(ワロン王立室内編成楽団と共演)と、課題の新作「Two Studies for Piano」(アナ・ソコロヴィッチ作曲)を含むリサイタルをそれぞれ披露する。
最終日公演後に評定結果が発表され、上位12名がファイナル(5月26~31日・ブリュッセル市内ボザール)に進出する。
ファイナルでは事前に用意された課題曲「Music for the Heart」(クリス・デフォールト作曲)と自由選択の協奏曲を演奏し、最終日夜に優勝以下6位までの入賞者が決定する予定である。
なお、全ラウンドの演奏は公式サイトでライブ中継される。
国際的に注目の若手が集結、日本勢の快進撃と世界の競演
今回のセミファイナリストには日本人6名全員が名を連ねた点が大きな話題である。彼らはいずれも国内外で活躍する実力者で、 例えば亀井聖矢は2022年ロン=ティボー国際コンクール優勝者、桑原志織は2019年ブゾーニ国際・2021年ルビンシュタイン国際コンクールでそれぞれ第2位に入った。
中川優芽花は2021年クララ・ハスキル国際コンクール優勝の経歴を持つ。残る久末航、太田糸音、吉見友貴も、それぞれARDミュンヘン国際3位、仙台国際3位、日本音楽コンクール優勝など輝かしい実績を有する。
日本勢以外にも世界トップレベルの若手が揃う。
地元ベルギーから唯一勝ち残ったヴァレール・ブルノンをはじめ、韓国のシン・チャンヨンは主要国際コンクール3冠の実績を負い、フランスのナタリア・ミルシテインは2015年ダブリン国際コンクールの覇者である。
さらにベラルーシのウラジスラウ・カンドーイは2022年ヴァン・クライバーン国際コンクールのファイナリストで、イスラエル出身の最年少ヤリ・ザケンは名門エルサレム音楽院で研鑽を積む新星だ。
出身国は日本・韓国・中国の東アジア勢10名を含む13か国にわたり、年齢も18歳から31歳まで幅広い。多様な顔触れが揃った今回のセミファイナルから、誰が国際舞台で頭角を現すのか注目が集まっている。